<中国証券報>国家能源局の14日の発表によると、8月電力供給では、火力発電と水力発電のアンバランス傾向が一層際立った。1−8月、水力発電設備の平均稼働時間数は178時間減少したが、火力発電設備では138時間増加した。稼働時間数の増加は、実のところ火力発電会社の望むところではない。石炭価格の高騰により、発電会社は稼働すればするほど赤字が増える。夏の電力需要ピークが過ぎても、赤字という圧力のもと、火力発電会社は前向きな経営方針に転換できないため、今年第4四半期から来年第1四半期にかけて、電力不足がさらに激化する恐れがある。16日付中国証券報が伝えた。

 今年の電力不足は、例年に比べ早く訪れ、長く続いている。電力需要ピークにはまだ早い4月に、電力不足が全国に広がった。9月に入り電力需要は下がったが、電気不足の状態は緩和されないままだ。

 季節・天気などの自然要因は軽視できない。水力発電の割合が高い南方では、電力需要ピークと水不足がかち合ったことで、電力不足に拍車がかかった。さらに、国内の発電の7割以上を占める火力発電では、石炭価格の高騰が原因で、各発電所とくに地方の小型火力発電所が稼働に及び腰となり、検査点検期間を延長する手段に出た。一部地方では、計画停電を実施することで、何とか電力需要ピークを乗り越えた。

 電力不足を解消する最もダイレクトな方法といえば電力供給制限だが、実体経済がダメージを受けることは必至だ。各国内メディアは、山西、江蘇・浙江、広州各地の一部地域で電力供給制限が実施された結果、現地の工業生産がマイナス影響を受けたと報じた。

 電力料金を引き上げることで、火力発電企業の一念発起に期待することも方法のひとつだ。国家発展改革委員会は6月、一部地方の電力網送配電電力料金と工業用電力料金の末端価格を引上げた。その後、電力需要ピークを経て、電力不足状態がやや和らいだが、火力発電状態の赤字はまだ解消されていない。南方の「水力・火力発電ダブル不足」局面が現在も拡大しており、今後電力料金が値上がりする可能性は極めて高い。  「石炭価格と電力価格の矛盾」は長年、火力発電業界にとって悩みの種だったが、この局面が短期間で変わるとは考え難い。専門家によると、各火力発電所の石炭在庫量の減少スピードから見て、冬季の電力需要ピークに備えた石炭在庫補充が10月末までに十分行われない場合、今年12月から来年3月までの間、発電所が持ちこたえることは至極困難という。火力発電業チェーンの各部門間のバランスを取り戻し、電力体制改革を断行することは、差し迫った急務となっている。(編集担当:浅野和孝)