TBS系テレビ番組「紳助社長のプロデュース大作戦!」の目玉企画は、沖縄県宮古島で民宿「夢来人(むらびと)」を開業するという宮古島市の街興し作戦だ。

   支配人にタレントを起用し、スタッフを一般公募して、民宿をゼロから立ち上げる。その様子や、地元民との交流、観光客との人間模様が視聴者の涙と笑いを誘っていた。それが島田紳助さんの芸能界引退で、民宿の運営は風前の灯になっている。

番組がなくなれば民宿も廃業

   この番組の人気コーナー「宮古島活性化プロジェクト」は2010年4月からスタート。初代支配人はお笑いコンビ「レギュラー」が就任し、ゼロの状態から民宿を立ち上げた。2011年4月からはお笑いタレントのノッチさん夫妻が務めている。民宿を運営する上でどうしても地元の協力を仰がなければならず、多くの地元住民が番組に登場している。全国放送ということもあり、この企画のせいもあって宮古島の知名度が急上昇。市の統計によれば09年の観光客が約33万7千人だったのに対し10年は40万人を超えた。

   順風満帆に見える中、島田紳助さんが突然芸能界を引退。原因が暴力団との関係とあって、放送が中止、番組の打ち切りも検討されている。

   市観光商工局によれば、この民宿はTBSの所有で、市はノータッチ。

「番組がなくなれば民宿も廃業することになると思います」

と打ち明ける。

   この番組のスタートは、紳助さんの沖縄に対するただならぬ愛情がきっかけになっている。著書「島田紳助のすべらない沖縄旅行ガイドブック」(08年3月発行)では、「芸能界一の沖縄事情通」と書いている。80年代末から沖縄を訪れるようになったようで、04年から「沖縄に移住したい」などと発言。05年には石垣島に喫茶店をオープンした。ここ数年はテレビ出演などの仕事をするのは週に3、4日。残りは沖縄で暮らしている、とテレビで発言することもあった。

   紳助さんは「芸能界の不動産投資王」などとも呼ばれ、熱心な沖縄通いも投資物件を探ったり、土地の値踏みをするためだろう、といった憶測も飛んでいた。

   しかし、本人は先のガイドブックに沖縄への思いをこう書いている。

「沖縄に行ったとき、僕の心の中は凪状態になる」

「沖縄に行ったとき、僕の心の中は凪(なぎ)状態になる。何も考えない状態になれる」

   こうなったときには趣味の絵が描けるし、それが精神状態の維持に役立つのだという。宮古島については、

「海と砂浜の美しさは東洋一。静けさと穏やかさで、まるで時間が止まった島」

と絶賛している。

   番組のおかげで注目が集まった宮古島だが、島民は非常に複雑な心境のようだ。観光客を増やしてくれたため紳助さんに感謝する一方で、「暴力団問題で手垢が付いてしまった」と感じる人もいる。市の商工会議所は、

「現在は成り行きを見守っている状態で、民宿を市で運営するという議論は出ていません」

という。

   民宿「夢来人」のホームページには、今も紳助さんの似顔絵が掲載されている。そこには支配人のノッチさんや従業員のブログがあるが、今回の引退には触れていない。ノッチさんのブログのコメント欄には、

「今はいろいろと大変かもしれませんが、ノッチさんが夢来人を守って行ってくださいね」
「番組続けられるよう、どうか頑張ってください!!紳助さんが引退されても番組が続く限り、励みになります!」
「全国のファンが応援してます!新たなスタートです!人生は終わりなき旅です!まだ始まったばかりです!こんなことで負けてたまるか!」

といった励ましが書き込まれている。

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