――ところで、ここまでパンダを好きになったきっかけとは何だったのでしょうか?

藤岡:小学校5年生の時に、神戸に引っ越して、その年に家から徒歩10分のところの王子動物園にパンダが来たんですよ。前から好きだったんですけど、これは運命だなと思って、そこでさらに好きになりました。

――パンダの魅力は何でしょうか?

藤岡:一番の魅力はギャップだと思うんですよ。かわいいのに格好良い。パンダの愛らしさは誰もが認めるものだと思うんですけど、かっこ良さもあります。実際、結構猛獣なので、飼育員さんでも2歳を越えたパンダは触っちゃいけないんです。力も強いので。そういう野生の力強さがめちゃくちゃ格好良い。“かわいい”と“格好良い”が両立しているのがすごいなと思って。

――でも、パンダって、おっさん臭くないですか?

藤岡:そう!そこもいいですよね。中に「おっさんが入っているんじゃないの?」って感じですよね、動きとか。

パンダ パンダ
 パンダのおっさんっぽい姿 

――笹を食べているパンダの姿を動物園で見たのですが、ビールを飲みながらスルメを食べているおっさんみたいな感じでしたね。

藤岡:そうそう。爪楊枝みたいにしてる時もあるし。だって普通、熊とか犬だったら、口から食べにいくじゃないですか。パンダは座って手で持って食べますからね。人間に似ているんですね。その人間臭さっていうのもパンダの魅力ですね。

――なるほど。もしかしたら、その人間っぽさがあるからこそ、『カンフー・パンダ』でパンダが立って歩いていても、違和感がないのかも知れないですね。

藤岡:それに、この映画はすごく感情移入ができるんですよね。普通、こういう映画でこんなヒーローが出てくると「あいつは選ばれし者だから」とか「映画だから」と思って別の話として考えて観ちゃうんですけど、ポーが頑張って活躍しているところをみると、自分も頑張らなきゃなってすごく思うんですよね。あいつができるんだから私も頑張らなきゃっていう風にすごくリアルに感じるんですよ。

――遠い存在ではなく、身近な存在として観ることができますよね。

藤岡:そうなんですよね。今回は、強いところからスタートしているじゃないですか。『1』は、本当に何もできないところからカンフーを習得していったけど、『2』は、「龍の戦士」になってからの戦いだから、最初から格好良い。でも、格好良いのに、どこか抜けていて…そこがキュンときます。

――カンフーの技はすごいのに、太っているせいで階段を登って息切れしている様な場面もありますね。

藤岡:そうそうそうそう。そういうところが良いですよね。