人材紹介のロバート・ウォルターズ(英国ロンドン)が、2009年第4四半期にアジア各国の大手求人情報サイトや国内紙に掲載された求人数を追跡記録したアジア雇用指数によると、アジア各国の求人数が前年比プラスとなる中、日本だけが前年比マイナスとなったことが分かった。

 日本、中国、香港、シンガポールの2009年第4四半期に掲載された求人広告総数は、前年比37.1%増加した。特に中国は大幅に増加して前年比42.6%増。シンガポール同8.2%増、香港同2.1%増と各国が前年比プラスを維持する中、日本だけが同5.9%の減少となった。

 アジア各国の回復は、商業活動の増加、消費意欲の拡大、そして景気後退の最悪の時機に一時停止された金融サービス分野の商業活動とプロジェクトの再開によるもので、商業活動が活発化するにつれ、多くの企業は、1年前の厳しいコスト削減対策により人員不足が生じたことを認識し、そのギャップを埋めるために現在募集をしているもようだ。

 日本は10月(前年比14.5%減)、11月(同25.5%減)は厳しい数値が続いたが、12月は前年比30.0%増となった。昨年1年間を最低限のスタッフで切り抜けてきた金融サービス業界が余った予算を一気に使い切ろうとする動きが出たためで、特に経理、秘書、事務職の採用意欲が高まった。エンジニアリング分野では自動車の環境関連技術者、小売分野ではコスト意識の高い消費者の要求を満足させようとする「バリュー・リテーラー」の採用ニーズが高まっている。

 日本の状況について、同社日本法人ロバート・ウォルターズ・ジャパンのデイビッド スワン社長は、「景気回復は脆弱ですが、企業がさらに自信を取り戻し、競合会社を出し抜いてマーケットシェアを奪おうとする徴候は見られます」と話している。

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求人数が大幅に減少、人材紹介への新規参入は沈静化(2009-12-24)

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