リスク対応に追われた2009年の人事担当者〜新型インフルエンザで大混乱、政策と景気次第でさらなる雇用調整の可能性
 近年の労働行政の最大の変化は、従来の労働規制緩和路線から一転、規制強化の動きに転じたことだ。

 それを象徴するのが民主党政権の誕生である。そして早くも製造業派遣の禁止や登録型派遣の見直しを含む論議が労働政策審議会で始まっている。(編集委員 溝上憲文、日本人材ニュースレポート【2009年12月1日号】より)

 もう一つは、ホワイトカラーエグゼンプションの導入をめぐる審議で浮上した月60時間超の時間外労働割増率50%引き上げを含む改正労基法の来年4月の施行である。

 これについては、時間外割増分代替休暇の付与、1時間単位での有給休暇の実施検討を含めて、各企業の人事担当者にとって頭の痛い問題となっている。

 ただし、この2つを除いて、今年は労働法制について目立った動きはなかった。むしろ、労働法以外の分野ないし突発的事態に対応を迫られる事柄が多かった年でもある。

裁判員裁判スタート、従業員参加時の問題は未解決のまま

 1つ目は、8月にスタートした裁判員裁判だ。裁判員になった従業員に、特別の有給休暇を付与するかどうかが論点となった。周知のように労基法7条では「公民権の行使」を保障しているが、必ずしも有給ではなく無給でもいいことになっている。

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