自分の可能性を広げる方法 タナカミノル氏
ウェブ制作や広告制作を手がけるピクルスを率いるタナカミノル氏。
彼は、29歳にしてそれまで勤めていた工場を退職し、異なる業種であるIT業界にダイブしたクリエイターだ。現在は、「遊び心」に溢れた広告系サイトやコンテンツなどの分野で、「創る」ということ=「伝える」ことだと考えアイデアやクオリティを追求しながら、ディレクション・デザイン・プログラムに携わっている。

今回は、タナカミノル氏の無謀ともいえる自身の転職や、未経験のため常識がまったくわからない業界の中でどのようにキャリアアップをはかり可能性を広げてきたかについて、その方法論を探ってみた。

■タナカ氏のピクルスってどんな会社? 
タナカ氏に、現在、代表を務めるピクルス社について伺ってみた。主な業務は、ウェブ制作と広告制作とのことだが、ピクルスは広告制作会社だとタナカ氏は言い切る。
「弊社の仕事は、WEB制作なのですが、広告会社という意識でやっています。仕事として、クライアントの問題解決を広告を通してすることが上位にあるからです。スタッフは、5人で男性3名、女性は2名です。一応全員肩書きはデザイナーですが、デザインだけでなく企画やディレクション、Flashのプログラミングなど、いろいろな仕事をなるべくしてもらっています。案件などによって担当を変えたりもしています。」

仕事によって担当を固定していない理由は、どこにあるのだろう。
「一つの仕事に専念して、いろいろなことを理解できる人もいますけど、誰でもがそんな風にはなれないですよね。僕自身、デザインやディレクションから企画まで、いろいろな仕事をしながらスキルや仕事の世界を広げてきたからでしょうか、いろいろな仕事を体験・経験することは、とてもプラスになると思っています。たくさんの経験がスタッフの新しい可能性を引き出してくれると思って、そうしています。」

■29歳で転職できた理由は世間しらず?
タナカ氏は、29歳という年齢で、工場での生産業からこの業界に転職されたわけだが、どのようにして異なる業種に飛び込んでいけたのだろうか、聞いてみた。
「一言でいうと、『世間をしらなかった』んです(苦笑)。『辞めたい』という気持ちが決まると、もう我慢できなくて辞めたわけですが、その後の苦労とか大変さとか、そのときはわかってなかったんですよ。だからこそ、思い切って、違う世界に飛び込めたのかもしれません。」

■無知を強みに変えて異なる世界へのダイブ
「前職の工場では、通常の業務の他にファイルメーカーの日本語のスクリプトなど弄っていたり、ホームページを作っていたりしていたので、自分でもこの仕事ができるじゃないかって勘違いしたんですよ。」
無知を強みに変えて異なる世界へ


そんな異なる業種へのダイブは、怖くはなかったのだろうか。
「ある意味、無知であることの強さだったと思います。いろいろ知りすぎると自分で自分を止めたり、恐れを抱いたりしますから、怖いもの知らずという弱みを強さとして活かすことが大事だと思いますね。
あと、お金がなくて後がないくらいに、追い込まれたことも大きな原動力になりました。
失敗したらマイナスになるという人もいますけど、新しいことへのチャレンジは、失敗しても経験値が残るのでプラスになると僕は思っています。もちろん社会的地位や所得はマイナスになる確率が異常に高いですけど…。正確に言うと、僕自身がプラスになると思い込んでいるだけかもしれません。」

何事も経験としてプラスにしてきたタナカ氏は、異なる業種への転職デメリットについてはどう思っているのだろうか
「違う業種への転職では、前職の技術や経験を使えないことが一番のデメリットですよね。いろいろと経験を重ねた今になって考えてみると、今いる職場で環境を改善するほうが苦労も少ないし、精度も高いと思いますので、無理に違う業種を選ぶことはないと思います。 しかし、「今の仕事イヤ!」とか「上司ムカツク!」とか負のパワーをいっぱい持ってしまったりとか、「僕、○○の方が才能がある!」とか、「○○の職種だと年収が○○○○万円じゃん!」みたいに、無知だからこそのパワーを強く持った人は、飛び出すことをオススメします。マイナス思考にしろ、プラス思考にしろ、それだけ想いが強い人だったらば、新しい仕事でも成長するチャンスが多いと思うんですよ。自分の決めた人生を過ごして、失敗してのたれ死んだ方が後悔無く死ねると思うんですよ。」
「…と、過激なことを言ってしまっていますが、逆に言うとのたれ死んでもいいと思っていないんだったら、あまりムチャな転職はしない方がいいと思っています。異業種に転職するなら、賢く計画を立てて、自分のスキルアップをはかりながら行動したほうがいいと思います。自身の転職を振り返ると、苦労もかなり多かったので、安易には転職をオススメできない感じなんですよね…」

■自分の価値を信じる 強い思いが「やりすぎ」タナカ氏を誕生させた
異なる業種への転職は、苦労も多いと語るタナカ氏だが、それでも飛び込んだ背景にはどんな想いがあったのだろうか。
「『自分はただのものではない。自分に価値がある』、『人とは違う』という想いは多かれ少なかれ誰にでもあると思うんです。僕自身も、自分の価値を証明しようと『5年後にプロになってやろう』『プロとして認められる人になる』と、やりすぎなくらい必死になれたことで、今に至っています。振り返れば、そこまで挑戦してみて、良かったと思っています。」

また、タナカ氏は、「やりすぎる」ようになったことも無知のパワーのためだと言う。
「自分の無知さを露呈する感じで恥ずかしいのですが、「プロ」の概念がわかっていなかったんですよ(笑)。この業種の「プロ」というのは、何でもできないといけないと思っていたんですよ。それで、業種以外のことも何でも自分でやらなきゃいけないと思って勉強しつつチャレンジをしてたんです。必要とされないことをいっぱいしました。プログラマーでキャスティングされた時に、デザインを提出してみたり、デザイナーでキャスティングされているのに、企画書を出してみたり。そんな無知のパワーがいろんな経験を自分にさせてくれて成長ができたんだと思っています。
だから、どうせやるなら、納得できるまでトコトンやりすぎるくらいやってみるほうがいいと。」

「違う仕事に飛び込むということは、無茶な生き方だとも思います。うれしいこともたくさんある一方で、つらいここともたくさんあるからです。それでも、飛び込んだのは、「自分の価値を証明したい」という想いが強かったからだと思います。秘めた想いを持って苦しんで生きるより、想いを達成するために苦しんで生きたほうが、僕的には自然な感じがするんです。」


■デザインの仕事をしていてうれしかったこと
タナカ氏の仕事である広告制作の仕事についても伺った。その中で、うれしかったこととは、どんなことなのだろうか。
「うれしいことは、多すぎるくらいあります。自分が関わった広告で良い結果や成果を聞くときやブログなどで評価されたときなどもうれしいですね。でも、それよりもうれしいのが、この仕事をするようになってセミナーとかの講演を依頼されるようになったことです。」
人に伝えることで人の役に立てることがうれしい


セミナーがうれしいとは、なんとも変わった答えが返ってきた。その真意は、どこにあるのか続けて聞いてみた。
「セミナーのように、伝えたい人を目の前にしてコミュニケーションできるという場をもてたことがうれしいですね。僕は、日頃の仕事を通して、いろいろなことを発見しますが、そうした自分が発見したものを『伝えたい』『いいたい』願望が強くあるんです。
人に伝えることで人の役に立てることがうれしいのです。自分の経験をほかの人も役立ててもらえることで、そこからまた新しいものが生まれてくる、そういう良い循環が心地良いのかもしれませんね。」

■やり過ぎクリエイターは、実は超ロジカルシンキング
さてタナカ氏だが、素顔はどんなキャラクターなのだろう。その性格と思考を、のぞいてみよう。

■ロジカルに考えることが多いです
タナカ氏は、自分を感性ではなくロジカルに考えるタイプだと分析しているという。
「今まで言ってたのと真逆な感じで申し訳ないですのですが、たぶん変質的にロジカルなタイプですね(笑)。自分の感情や感覚をそのままでは簡単には信用しないです。例えば、街中で目について、いいなと思ったデザインがあったとします。それは『感性に響いたデザイン』とかって、普通はすまされちゃうと思うのですけど、それを言語化して、意味や理由を明確化して、自分なりの方程式を導きだそうとするんです。自分が感じたものであっても、その中にある『意味』を突きつめていき、人に伝わるロジックを自分が納得できるまで明確にしたくなってしまうんです。
自分の感情や感覚を言語化する


曖昧なままにしないで、本質というかコアな意味を理解することで、自分の作品でも強くてブレのないメッセージを作ることができるようになると思うんです。そういったところが、ついついやりすぎてしまう理由なのかもしれませんね。だから、考えすぎてしまってまったく違う答えを導き出してしまって、暴走してしまうことも多々ありまして…(笑)。」

■仕事スタイルは朝型、夜型?
タナカ氏の仕事スタイルは、夜型なのだろうか、朝型なのだろうか
「以前みた哀川翔「早起きは三億の徳」という本に影響を受けて、朝型です。もちろん、それだけではないのですが、忙しくなるほど朝型になります。朝早く起きて仕事するとはかどるんですよ。なので、朝型ということで。」

■好きな食べ物は?
タナカ氏の好きな食べ物を聞いてみた。
「最近、気にいっているのが、立ち食い蕎麦の『いわもとQ』(http://gourmet.livedoor.com/restaurant/416369/)です。ここの蕎麦がおいしいんです。」
と、ネット検索の結果をしらべて見せてくれるほど、かなり力をいれて答えてくれた。

なにげにタナカ氏は、立ち食い蕎麦が好きなのだそうだ。

■これだけは許せない
さて、タナカ氏のこれだけは許せないというものを聞いてみた。
「モテる人は許せないですね。本能的に敵と思ってしまうんです。モテそうオーラに反応して、敵化しちゃうんですよ。治そうとは思うのですが、これが治らなくて……」

■SFの世界のようなバランス社会を
最後にタナカ氏の将来の夢を聞いた。
「個人的な夢でもなく、オタクでマニアックな話しすぎてこんなところで言う話しではないと思うんですが、スタートトレックに登場する『連邦』の世界観が現実の社会でもできるといいなと思っています(笑)。
スタートレックの世界では、衣食住が保証されて、金銭での争いや貧富の差が社会から無くなっているという設定なんですが、その世界では、ほかの人にどれだけ貢献できるかを問われる世界観なんです。
みんながまわりの人によくしてあげる、『ありがとう』と言い合える、そんなコミュニケーションが成立された社会になったらみんなうれしいと思うんですよね。」

また、SFは夢物語では、ないともタナカ氏はいう。
「よく言われている話しですが、SFの世界って、現実の社会が目指している未来でもあると思うんですよ。宇宙飛行も月旅行も実現したし、アトムがあったからASIMOも誕生したし、現実の社会は、心のどこかでSFの世界を目指して、追っていると思うんですよ。だからスタートトレックのようなバランスのとれた社会にもなることもできるんじゃないかなぁ、と思っています。」

タナカミノル氏
1999年頃からFLASHを始める。
その後、3年間のフリーランス経験を経て2003年にピクルスを設立。
「遊び心」に溢れた広告系サイトやコンテンツなどが得意です。
「創る」ということ=「伝える」ことだと考えアイデアやクオリティを追求しています。ディレクション・デザイン・プログラムに携わる。

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