観客席の沈んだ空気も気になるところだ。大技の攻防ではさすがに歓声が上がるが、昔のように声をそろえてレスラーの名を連呼するようなエネルギーがないのは寂しい限り。熱狂的な「猪木コール」が懐かしい。時には暴動まで引き起こした(もちろん誉められたことではないが)あのパワーはどこへ行ったのか。

顔ぶれの新鮮味のなさも目につく。この日のドーム大会に出場したレスラーたちを見ても、世に広く名が通っているのは武藤に三沢に蝶野正洋(45)、果ては今さら感ありすぎの長州力(57)と、10年以上前から変わらない面々ばかり。新しくIWGP王者となった棚橋をはじめ中邑、後藤などの若手(とは必ずしも言えないが)も頑張ってはいるが、いかんせん彼らは知名度の点で前記のベテラン勢に遠く及ばない。もともと新陳代謝の遅い世界だったが、人気の低迷でマット界を取り巻く環境(テレビ中継の時間帯、メディアでの扱われ方など)が悪化した近年、その傾向はさらに強まっている。現在の状況では至難の業かも知れないが、ジャンルを背負える(加えてその面白さを世間に改めて認めさせられる)だけの力を持った新たなスターを育て台頭させてほしい。

(編集部:綱川朋彦.)

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【参照】
・日刊スポーツ