昨シーズン終了直前にナントを電撃退団した元フランス代表の守護神、ファビアン・バルテズ(37)。本人はその後も現役続行を希望していたが、プレー先が決まらず、事実上の引退に追い込まれていた。先日、久々にメディアに登場(民放TF1局のサッカー番組「テレフット」)した際、ようやく現役に未練がなくなったことを明かし、実家のあるトゥールーズ郊外にサッカースクールを開く計画を語っている。

 そのバルテズが16日付のレキップ紙で、大ケガを負ったロナウドについて語った。バルテズとロナウドは、W杯(98年、06年)やチャンピオンズリーグ(03年、マンチェスター・ユナイテッド対レアル・マドリー)で対決したことがある。中でも、98年W杯決勝でロナウドのゴール前への突進をバルテズが猛タックルで防いだ“激突シーン”は、大会名場面のひとつとして記憶されている。

 バルテズはあの場面を振り返って「もし僕があそこでヒザを出していたら、彼はお陀仏だったろうね。でもあの激突では、どちらも相手を痛めつけようなんて思っていなかった。やろうと思えばできた。とくに僕の方はね。でも自制したんだ。彼は敬意を払わせる男だったから」と語っている。

 「彼は過去25年間で最強のフォワードだ。彼に対してはすべてを警戒した。強烈なシュートがあればループもあり、ドリブル、フェイント、ボールキープ、すべてが可能だ。何もかもがあっという間に起こる。ディフェンスはいつの間にか裏に回られている」とロナウドに対するバルテズの絶賛はやまない。人間的な面でも、「どんな選手に対しても敬意を払った。小さなジェスチャーや、まなざしでそれを感じさせた。ゴールをあげたときですら相手に対する敬意を忘れなかった」と話す。

 今回のケガについては、「これで終わったとしたら本当に残念だ。ただ、一番大事なのは後遺症にならないこと」と語るバルテズ。最後にこう付け加えた。「彼のことを思っている。すぐにあの笑顔が浮かんでくる。彼に言いたい、“お見事、ムッシュー・ロナウド!”」

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