「Etisalat National League」と呼ばれる、アラブ首長国連邦1部リーグは今シーズンの10節目を終了した。そして、全12チームのうち10人の監督のクビが飛んだ。

 アラブの掟は厳しい。オイルマネーが余りまくっている砂漠の王族たちは、監督たちに猶予を与えるどころか1敗することすら許さない。

 幸運にも生きのびている監督2人のうち1人は、かつて鹿島アントラーズを指揮した、あのトニーニョ・セレーゾだ。セレーゾ率いるアル・シャバブは今のところ首位に立っている。もう1人もブラジル人監督で、昨季王者アル・ワスルを率いるゼ・マリオだがチームは目下8位。つまり彼のクビが飛ぶ日は近い。首位にいるセレーゾにしても、いつその座から引きずりおろされるかわからない。

 お隣カタール・リーグのモロッコ人監督ハミド・ブリミルには同情するしかない。第2次湾岸戦争で米軍が作戦総司令部を置いたぐらい、砂のほかには何もない町のチームを率いて2連勝したにも関わらずあっさり解任された。

 アラブの王族たちの思考論理は、われわれ庶民の考えの及ぶところではないらしい。