マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督は、プレミアリーグが検討する海外での公式戦開催案について怒りを露にした。この老将は、監督や選手と協議する場を設ける前に計画を公表したリーグ側に大きな不信感を抱いているようだ。

 プレミアリーグは、2010-11シーズンから現状のシーズン38試合から39試合制に拡大し、そこで生まれる10試合を海外で開催する案を計画している。しかし、開催国のプロリーグとの利害関係やイングランド国内のファンに対する配慮が欠ける点などから、反発の声は大きい。加えて、プレミア最年長監督のファーガソンは、秘密裏に進められていたはずの計画が、監督や選手の意見を聞く前に公になったことに激怒。すでにプレミア全20クラブが同意したとされるこの計画だが、「事前に各クラブ内での話し合いを行うべきだった」と語っている。

「7日にデイビッド・ギル(マンU最高経営責任者)から電話をもらって、この計画について聞かされた。その時に、『これから議論することだから内密に』と釘を刺されたのだが、翌朝にはこの状態だ。プレミアリーグは少しの間黙っていることもできないのか? 本当にこの計画を実現させたいなら、公表する前に監督や選手の意見を聞く場を設けるべきだった。また、今のような状況になる前に、それぞれのクラブが内部で議論を進める時間も必要だったはずだ。ただ、この計画が実現したとしても、その頃私は監督を続けていないだろう。続けていないことを願うよ。ボンベイだか、スマトラだかまで行って試合をする気にはなれないからね」

 ファーガソン監督が反発の姿勢を示しているのに対して、公式戦の海外開催案に賛成している監督は少なくない。アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、「個人的には改革に反対すべきでないという考えを持っている。また、全世界にいるファンのほとんどは、毎週スタジアムに足を運べないのだから、こういった機会を作ることも大切かもしれない」とコメント。また、サンダーランドのロイ・キーン監督も、「変化は大事なことだ。リーグのレベルを保てるなら、ポジティブに考えるべきアイデアだと思う」と語っている。

 開催方法や試合の組み合わせなど、今後多くの議論を必要とするプレミアリーグの海外開催案。各チームを預かる監督にとっては、キーン監督の言う、「ただし、4強と対戦することになったら話は別だ」という意見が本音なのではないだろうか。