イングランド代表のファビオ・カペッロ監督は、2-1の勝利を収めたスイス戦後、「イングランド代表監督の意味を再認識した」と語り、感慨深げに試合を振り返った。試合序盤の苦戦を「プレッシャーが原因」と分析したイタリア人監督は、緒戦を白星で終えた結果に満足げな表情だった。

 試合後のインタビューに通訳を伴って現れたカペッロは、聖地ウェンブリーの雰囲気に感銘を受けたと語るなど、終始上機嫌。しかし、ユーロ2008予選敗退の影をいまだ引きずる選手たちが、緊張で本来の力を発揮できなかったと語っている。

「まず、このような素晴らしいスタジアムで試合を出来たことに感銘を受けている。満員の観客が素晴らしい雰囲気を作り上げてくれた。すごく幸せな気分だし、ようやくイングランド代表監督を務める意味が分かったよ。ただ同時に、ウェンブリーは選手たちに多大なプレッシャーを課したようだ。試合開始直後の選手たちはナーバスになっていた。それでも、試合の経過と共に良いフットボールを展開することができた。選手たちの中には、まだユーロ2008で予選敗退した記憶が残っているのだろう。多くのチャンスを生み出しながら得点に繋げられなかったシーンもあったからね。また、結果を気にする余り、ラスト10分は試合を作ることが出来なかった。それでも、守備は安定していたと思う」

 さらに、選手がナーバスになっていた原因に「新監督に良い所をみせようとしていたからでは?」とインタビュアーに問われると、「誰かを脅したつもりはないから、私のことを恐れていたとは思わないよ」とジョークで切り替えしたカペッロ。選手とのコミュニケーションについても、「選手とは英語で話している。フットボールについてなら問題ない」と語り、一部マスコミが懸念するコミュニケーション不足についても否定した。

 試合後のインタビューに終始笑顔で答えたカペッロは、白星を収めた緒戦で一定の手ごたえを掴んだ様子。クラブチームで輝かしい実績を残してきた名将による“母国”復活計画は、まだ始まったばかりだ。