かつての名選手が指導者となり、その息子が父と同じ道を歩む。いわゆる“親子鷹”が、イタリアでも目に見えて増えてきた。

 有名なチェーザレ&パオロのマルディーニ親子は、伊代表でも選手と監督の関係をもった。父チェーザレはふり返る。

「私がパオロをU21伊代表でデビューさせたのは、もう20年も前のことだ。あのとき、彼に忠告した。『記者連中が親子関係について勘ぐった質問をしてくるだろうから注意しろ』と。すると彼はこう返事した。『心配しなくていいよ。自分で何とかするから』とね」

 現ミラン主将若かりし頃の早熟ぶりがうかがえるエピソードだが、やはり息子ダビデをミランのユースに抱えるアンチェロッティ監督は戒めの言葉をもっている。

「監督の子息であることはアドバンテージだ。すでに関係者にその名が知られているからね。だが同時に、その名前に果たすべき義務と責任が伴うことも忘れてはならない」

 一方で袂を分かつことを選んだ親子もいる。カリアリのMFダニエレ・コンティは、絶対的な庇護が約束されているローマへの移籍を「するわけがない」と毅然と否定した。ローマの現幹部には、スペインW杯で優勝しローマのアイドルだった父ブルーノがいる。

 リボルノ監督のカモレーゼや元シエナ監督のマンドルリーニも、息子を別チームに所属させている。

 血の結びつきを重視する向きは、イタリアで特に強い。その上で父の名を負いつつ、プレッシャーに打ち勝った者だけが名選手になれるのだろう。

・[選手名鑑]パオロ・マルディーニ - 評価、プレー動画など