1976-77年シーズンのチャンピオンズ・カップ2次ステージで、驚くべき光景が見られた。ボルシアMG(西ドイツ)と対戦したトリノ(イタリア)は、あれよあれよと退場者を重ね、後半26分にはGKカステッリーニまで失ってしまった。ピッチには8人しか残っていなかった。

 窮余の策としてトリノのラデーチェ監督は、のちに82年W杯を制するCFグラツィアーニをゴールマウスにすえた。生粋のFWだったグラツィアーニだったが当時爆発的な攻撃力を誇ったボルシアの猛攻をしのぎきり、トリノは0対0で引き分けることに成功した。

 しかし、トリノの勝ち抜きはかなわなかった。ホームでの第1戦、11人対11人であったにも関わらず、1対2で敗れていたためだった。勝ち進んだボルシアMGはリバプールとの決勝までたどり着き、準優勝を果たしている。