イングランド代表の次期監督として最有力といわれているファビオ・カペッロについて、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督とアーセナルのアーセン・ベンゲル監督がともにその就任を後押しする考えを示した。

　ジョゼ・モウリーニョ前チェルシー監督が就任の可能性を否定したことで一躍注目を集めるカペッロについて、プレミア最年長監督のファーガソンは、このイタリア人指揮官が代表監督に求められる豊富な経験と実績を持っているとコメント。イングランド人監督の就任を推すベンゲルの考え同調しながらも、現時点ではカペッロが適任であるとの考えを語っている。

「代表チームを率いるには、ある程度の年齢と豊富な経験、そして誰もが納得する実績が必要だ。ファビオ・カペッロはその条件をすべて満たしている。もちろんベンゲルの言う通り、イングランド人が監督を務めるのが理想だろう。しかし、現時点で代表に成功をもたらすことの出来るイングランド人監督は限られている。ここ数年、イングランドは期待を裏切り続けているし、イタリアやドイツといった代表チームと同等の成績を求められるイングランドでは、代表監督にかかるプレッシャーも大きい。だからこそ、成功を収める可能性の高い監督を選ぶべきだ。たとえそれがどこの国の人間であってもね」

　ファーガソンに続きカペッロの就任を推すベンゲルは、その強い個性を絶賛。英会話能力に若干の危惧を示しながらも、欧州のビッグクラブでリーグタイトルを7度も獲得しているベテラン監督の指導力に疑いの余地はないとしている。

「ファビオとは長年の付き合いだが、彼は素晴らしい監督だ。技術的な面だけで言うと、何の心配も要らないだろう。非常に強い個性を持った監督だ。独自のビジョンをしっかりと持っているし、最後まで自分の決断を貫き通すことが出来る。彼は監督として勝者であり続けているし、自分の手腕に自信を持っているはずだ。苦境に立たされても負けない強さがある。それこそ、イングランド代表監督に求められる資質だ。唯一問題があるとすれば言葉の面だ。彼がどれだけ英語を話せるかは分からないが、メディア対応はイングランド代表監督にとって最大の仕事と言ってもいいほどだからね。ただ、メディアのプレッシャーについても彼は十分経験済みだ。何も問題はないだろう」

　近日中にイングランド・サッカー協会幹部と会談の席を設けるといわれているカペッロ。ユベントス、ACミラン、レアル・マドリーと、欧州を代表するビッグクラブで実績を残してきた61歳の就任はほぼ決定的な情勢だ。プレミアリーグの重鎮2人が推すイタリア人監督は、“インポッシブル・ジョブ（不可能な仕事）”と言われるほど多大なプレッシャーに晒されるイングランド代表監督の座をいかに務めるのだろうか。