「これが現状のミランだ。醜態だ。ひどいプレーだった」
 指揮官アンチェロッティは試合後言い訳をしなかった。日曜に行われたセリエA第8節エンポリ戦の敗戦は“ミラン危機”の声を一層かまびすしいものにした。11位という信じられない体たらくは、Bに降格してしまった1981-82年シーズン以来の惨状だ。

 ホームでの相次ぐ失態にサポーターたちの我慢も限界を超えた。
「首位とこんなに差が開いているなんて、不快感でいっぱいだ。ファンはチケット代を払っているのだから、抗議する権利がある」
 試合後止まなかったブーイングに、復帰したマルディーニもチームの危機状態を認めた。

 水曜日にはCLシャフタル・ドネツク戦が控えるが、頼みの綱であるMFカカは膝打撲を抱えており、エンポリ戦ではベンチ入りすらできなかった。
 問題の根っこはカカ不在ではなく、信頼性を欠く守備陣、点を取れないFW、そして壊滅的なプレースピードの遅さにある。
 短期間で効く特効薬はない。ミランの行手に暗雲が立ちこめている。