13日と17日にユーロ2008予選の2試合を控えるフランス代表が、FWのルイ・サア(マンチェスター・ユナイテッド)をケガで欠くことになった。ドメネク監督が10日、代わりに招集したのは、トレゼゲでもシセでもビルトールでもなく、代表未経験のアテム・ベン・アルファ(リヨン)。前日、テレビのインタビューで「A代表? まだ自分には早すぎる」と話していたばかりの20歳だ。

 U-21代表としてA代表と同じ合宿先のクレールフォンテーヌにいたベン・アルファは、自分より1歳年下のチームメイト、カリム・ベンゼマが代表メンバーに定着していることをレキップTVの記者から訊ねられると、「彼はそれに値する選手。努力して勝ちとった。自分はまだまだ。まずはリヨンでレギュラーに定着しないと」と控えめに答えていた。

 リーグ・アンでの出場はこれまで通算でわずか39試合。今シーズンも10試合のうち半分の5試合(うち先発3試合)に出場したのみだ。ただし、そのテクニックは折り紙付き。ベン・アルファがU-17代表時代に監督を務めていたフィリップ・ベルジェロー氏も「同世代ではテクニック的にもっとも才能のある選手。個人プレーに走るきらいはあるが、どんなときにも状況をガラリと変えることのできる天才であることに間違いはない」(レキップ紙)と認めている。テクニックでは、ベンゼマやナスリ、グルキュフ(ACミラン)より上ということだ。マラドーナやロナウジーニョと比較されることすらある。

 ベルジェロー氏が指摘するように、これまでは周りを見ずにひたすらドリブルを続ける傾向があったが、今シーズンからかなり変化が見える。本人もそれを自覚していて、「ボールをもっていないときのポジションがいかに大切かを学んだ。攻めることと守ることの両方をしなければならないことも。何かきっかけがあったわけじゃない。少しずつ成長したんだ」とレキップ紙に語っている。昨シーズンまでは左サイドでの起用がほとんどだったが、今シーズンはペラン新監督にトップ下の中央で起用されると、1試合で2アシスト(対メッス戦)と活躍し、「成長」を印象づけた。