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-[東大卒作家・布施川天馬の教育キャリア通信]-

日本トップとされる東京大学。
そこに通う東大生たちは「エリート」「天才」などもてはやされています。ですが、そんな天才たちが口をそろえて「あいつらは別格」と述べる集団が存在することを、ご存じでしょうか?

その名も「東大理Ⅲ」。東大医学部医学科直通コースを指し、入れるのは毎年97名のみ。

問題こそ東大理系で共通ですが、入試の中でも最高峰かつ異次元の難易度を誇るとされます。

私は、今年の東大理Ⅲ合格者のうち21名に取材を行いました。

例年は一部進学塾の卒業生が多いのですが、今年はなぜか「地方から塾ナシ現役合格」や「大学で塾ナシ仮面浪人して合格」など、様々な経歴の方ばかりが集まっています。

取材結果は『東大理Ⅲ 合格の秘訣vol.41』として書籍にまとめましたが、今回はその中から、特にユニークな方のお話をいくつかご紹介します。

今回ご紹介するのは九州出身のYさんです。もともと神童として名を馳せた彼女は、誰もが受かると確信した現役受験に失敗し、慶應に進学します。

ずばり敗因は「負けを知らなかったから」。浪人しての再受験でも襲いくる「敗北の足音」を振り払えた要因は、「慶應で培った意外過ぎる経験」にありました。

◆地元に刻んだ神童伝説

「私が現役で落ちたのは、”負け知らずの人生”を歩みすぎたからだと思います」

九州地方出身のYさんは、もともと小さなころから才女として様々な天才エピソードを持っていました。

3歳頃には大人顔負けの口達者を発揮し、塾の送り迎えの際には暗記した駐車場料金表から「今日は○円だよ!」と親に教えてあげ、今でも地元の塾では「伝説の生徒」として語り継がれているのだとか。

そんなYさんは勉強熱心だったこともあり、もちろん日本全国トップクラスの成績を連発し、当たり前のように理Ⅲ志望になります。

誰もが明らかに受かると感じていた現役の本番でしたが、なんと結果は不合格。人生初の敗北でした。

気持ちを切り替えて、慶應義塾大学医学部へ進学するYさん。

彼女の中では「もう慶應でいいかな」と受け入れつつ、家族の「理Ⅲに届く才能があるのにもったいない!」と勧める気持ちも汲み、慶應生と理Ⅲ受験生の二重生活を始めます。

「慶應の単位は全部取りましたよ。解剖実習もきっちりやりましたし、卓球部にも所属して、バイトもして……受験だけだと退屈でしたから(笑)」

そういって笑う彼女でしたが、この量に加えて東大理Ⅲ合格レベルの受験勉強をこなすのは、ハッキリ言って常人には不可能です。