〈中国・今度は毒タケノコ〉「すごい臭いだ…」違法な硫黄燻蒸したタケノコから基準値の約24倍の二酸化硫黄…日本に輸入された“メンマ”は大丈夫か?
8月に発がん性物質のホルムアルデヒド入り溶液に浸された白菜の出荷が確認され社会不安を呼んだ中国で、また危険な野菜加工が確認された。今度は硫黄でタケノコを燻蒸する手口で、健康被害を起こす恐れから日本でも中国でも残留許容量が決められているが、中国で規制量を上回るものが出回っていた可能性が出てきた。日本に輸入されたとは確認されていないが、メンマをはじめ食卓に上がるタケノコの9割前後が中国からの輸入品だとみられる日本の消費者も無関心ではいられない。
《画像》「タケノコだけじゃない」遺体保存で使われるホルムアルデヒドと共に並ぶ白菜、 トラックで運ばれる様子
「すごい臭いだ。これは食べられない」
問題の違法加工は中国南部、広東省清遠(せいえん)市の山奥で行なわれていた。実は、この問題で映像という動かぬ証拠をつかみ世に告発したのは「漁猟斉哥」と名乗る動画配信者の男性だ。
「彼の動画や中国メディアによると、彼は3人の取材チームで広東省で生のタケノコを運ぶトラックを夜通し追跡し、山奥の加工現場とみられるところを突き止めました。そしてドローンなどで作業小屋のようなところで作業をしている男性や『硫黄』と書かれた袋が置かれている場面を撮影しました。その現場から出荷されたタケノコの袋を入手して開封した漁猟斉哥氏が『すごい臭いだ。これは食べられない』と言って、のけぞるシーンもあります」(全国紙外報部記者)
「漁猟斉哥」氏の情報を基に清遠市当局は9月18日にHPで〈予備的な検証で、映像で報告された状況が確認された〉と、違法な硫黄燻蒸を確認したと公表。
〈われわれは違法加工された原材料や製品を差し押さえ、公安部門は関係者に法的措置を講じている。事件はさらに調査が続いている。(中略)購入や加工、販売を包括的かつ徹底的に検査し、(中略)違法行為は厳格に調査と法的対処がなされる〉
とも表明した。
当局がこのように強い姿勢を迅速に見せたのは、食の安全への不信は政府の統制力への疑念に直結すると恐れているためとみられる。
行政による摘発がなかなか行われず“インフルエンサー頼み”の中国
硫黄による野菜の燻製は保存期間を延ばし、特にタケノコは、身を収穫後の真っ白い状態に保てると考えられているという。
「一方、燻蒸時に発生する二酸化硫黄は、呼吸器や消化器の障害を引き起こすリスクがあるとみられてきました。そのため中国でも日本でも硫黄燻蒸は禁止されています。
中国共産党系の『環球時報』の英語版は、今回のタケノコから1キロあたり4860ミリグラムの二酸化硫黄が検出されたと報じ、これは中国政府が定める乾燥タケノコの許容量200ミリグラムをはるかに超えています」(全国紙記者)
現場に向かう山道でも鼻を衝く刺激臭が漂っていたといい、映像には枯れた樹木も映っていた。「漁猟斉哥」氏は加工場から出る二酸化硫黄の煙を浴びたためではないかと指摘した。
一方、中国では当局が神経をとがらせる生鮮野菜の危険で違法な加工が問題になっている。今年8月には河北省張家口市で、収穫された白菜の鮮度を保つ目的で、発がん性が指摘される「ホルムアルデヒド溶液」に浸してトラックに積み込む場面を映した動画が拡散した。
「ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色の気体で、水溶液はホルマリンと呼ばれ、遺体や標本の保存に使われます。中国国内をトラックで長距離にわたって運ぶ際に鮮度が落ちないようつけたとみられますが、これも違法で、当局はこの動画告発の後、3人を拘束しています」(全国紙記者)
実はこのホルムアルデヒド加工の瞬間を撮影しネットで告発したのも、今回と同じ「漁猟斉哥」氏だ。
「中国では鮮度を保つためのこうした違法な加工が依然あちこちで行なわれているとみられ、行政による摘発がなかなか行われないためネットで影響力を持つ漁猟斉哥のようなインフルエンサーに関係者が情報を持ち込み、映像による証拠を押さえてもらう例が増えているようです」(全国紙記者)
その結果、今回の舞台となった清遠市は、HPによる問題公表の末尾に、
〈メディアおよびネットユーザーの皆様の監視とご支援に感謝申し上げます〉
とも書き添えている。
中国からのタケノコ輸入を扱う日本の会社は…
気になるのは、ラーメンに入っているメンマなど、日本でも中国産タケノコが多く食べられていることだ。日本テレビは、日本で消費される9割が輸入品で、そのほとんどを中国産が占めていると伝えている。
厚生労働省は今回の硫黄燻蒸の発覚後、この問題に関する立場は表明していない。
中国からタケノコを輸入している日本のある会社は、
〈当社では(中略)日本の食品衛生関係法令および当社の品質基準に基づいた管理を行っております。当社が販売する中国産「たけのこ」の輸入元および製造・加工工程について、改めて調査し、今回報道されている、法令に抵触するような事例が無い事を確認しております〉
との告示を9月下旬に出し、安全性への懸念はないと強調している。
多くの食品の輸入を頼る中国で起きる“食の安全”問題には、日本の食卓も敏感になるしかない。しかし、中国当局が動画配信者の告発に頼っている状況はなんとも心もとない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
