軽い気持ちで口座売買したら大変なことに… ※画像はイメージです(himawariin/photoAC)

写真拡大

20代会社員のAさんは、SNSで「使っていない銀行口座を5万円で買い取ります」という投稿を目にした。じつは転職後はほとんど使っていない銀行口座を持っていたAさんは、「どうせ使わない口座だしお金になるならいいかもしれない」と考え、相手にキャッシュカードと通帳を送り、求められるまま暗証番号も伝えてしまう。

【画像】20&30代の貯金総額

それから数日後、銀行から「口座で不審な取引が確認されている」と電話が。詳しく話を聞くと、どうやら売った口座がそのまま悪用されているようで、Aさんは犯罪の一端を担ってしまったことに青ざめてしまう。

Aさんはこのまま犯罪者の共犯として罰せられてしまうのだろうか。また、今からでもできる対応策はあるのだろうか。Authense法律事務所の新町佳史さんに話を聞いた。

ーAさんのようなケースはなぜ違法なのでしょうか?

預金口座は本人確認を前提に銀行が開設しているものであり、第三者へ譲渡することは利用規約でも禁止されています。また、口座が特殊詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に利用された場合には、犯罪収益移転防止法などが問題となるほか、事情によっては詐欺ほう助などの刑事責任が問われる可能性もあります。

一方で、Aさんのように「犯罪に使われるとは思っていなかった」という事情があれば、それだけで直ちに詐欺の共犯になるわけではありません。

ただ、「口座を5万円で買い取る」といった不自然な話にもかかわらず、キャッシュカードや暗証番号まで渡していた場合には、「犯罪に利用されるかもしれない」と認識できたのではないかと判断される場合もあります。

実際に責任を問われるかどうかは、口座を渡した経緯や当時の状況など、個別の事情を踏まえて判断されます。

ーAさんの口座は凍結されるのでしょうか?

Aさんの口座が犯罪利用口座と判断されれば、口座が凍結される可能性があります。さらに、その金融機関だけでなく、新たな口座開設の審査に影響したり、他の金融機関との取引に支障が生じたりする可能性もあるでしょう。

1度こうしたトラブルに巻き込まれると、給与振込や公共料金の引き落としなど、普段当たり前にできていたことが難しくなるおそれもあります。

ーAさんが今からでもできることはありますか?

まずは、口座のある銀行へ事情を説明し、利用停止など必要な対応について相談してください。そのうえで、警察にも相談し、口座を渡した経緯を正直に伝えましょう。さらに、自分にどのような法的リスクがあるのかを確認するため、弁護士へ相談するのもおすすめです。

「もう手遅れだ」とあきらめる前に早めに相談すれば、その後どのように対応すればよいか助言を受けられますし、被害の拡大を防げる場合もあります。

◆新町佳史(しんまち・よしふみ) 弁護士/Authense法律事務所
依頼者1人ひとりと真摯に向き合い、言葉にならない思いや背景事情にも丁寧に耳を傾け、本音を引き出す対話を重視。スピーディーかつ友好的な解決へ導く粘り強い交渉力を強みとする。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)