イスラエルとの試合のボイコットを呼びかける投稿 画像はInstagram@irishsportforpalestineより

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イスラエルとの対戦を控えるアイルランド代表に対し、国内のスポーツ界からボイコットを求める声が上がっている。

英『Reuters』などによると、アイルランドの「アイリッシュ・スポーツ・フォー・パレスチナ」は21日、160人を超えるスポーツ関係者が署名した公開書簡を発表。現地時間の9月27日と10月4日に予定されているUEFAネーションズリーグのイスラエル戦への出場を拒否するよう、男子代表チームに呼びかけた。

公開書簡では、ガザ情勢をめぐる問題を背景に、代表選手たちに「良心に従って団結」し、イスラエルとの2試合への出場を拒否するよう要求。アイルランドサッカー協会(FAI)、UEFA、政府が選手たちを難しい立場に置いているとも主張している。

今回の問題では、アイルランド代表のヘイミル・ハルグリムソン監督の発言も注目を集めた。

同監督はイスラエル戦について、「我々はジェノサイドとともにプレイするのではなく、ジェノサイドと戦う」と発言。これに対し、イスラエルサッカー協会は「無知」「偽善」「愚かさ」などと批判し、両国のサッカー界の対立がさらに表面化している。

今回の動きを理解するうえでは、アイルランドが長く英国の支配下に置かれ、独立を求める運動を続けてきた歴史も背景の一つとなる。

アイルランドでは12世紀以降、イングランドによる支配が続き、1801年にはグレートブリテンとアイルランドが合同して「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」が成立。19世紀には自治を求めるホームルール運動などが広がった。

1916年にはダブリンでイースター蜂起が起き、英国政府によって鎮圧された。その後、独立を求める運動がさらに拡大し、1919年から英国との独立戦争へと発展。1921年の条約を経て、翌1922年にアイルランド自由国が成立した。ただし、北東部の6州は英国に残ることになり、アイルランドの分断は現在まで続いている。

こうした歴史を持つアイルランドでは、現在のパレスチナ問題を自国の植民地支配や独立闘争の経験と重ね合わせて捉える議論もある。

今回の公開書簡でも、署名者たちはアイルランドの反植民地主義の歴史に言及。代表チームが示す価値観について、アイルランドが歩んできた歴史やスポーツが持つ役割と結びつけて訴えている。

一方、FAIはイスラエル戦を予定通り実施する方針を維持している。

FAIは7月の臨時総会で、イスラエル戦を実施する理事会の方針を支持する決議を68%対32%で承認。ボイコットした場合、試合の没収による敗戦だけでなく、UEFAからの収入減や大会への参加資格など、アイルランドサッカー全体に長期的な影響が及ぶ可能性があると説明している。

また、FAIのデービッド・クレル最高経営責任者は、UEFAがイスラエルの大会参加をめぐって対応していないことから、FAIが難しい立場に置かれていると説明。FAIとしてはUEFAに対してイスラエルの大会参加をめぐる対応を求めてきたとしている。

試合そのものも通常とは異なる形で行われる。

9月27日のイスラエル戦はハンガリーのデブレツェンで、10月4日の「ホーム」戦はセルビアのバチュカ・トポラで開催。後者は無観客となり、アイルランドサポーターには両試合ともチケットが販売されない。

さらに、アイルランドの公共放送RTÉもスタジオ解説や現地解説を行わず、国際映像を利用した最小限の中継とする方針を決めている。

160人を超えるスポーツ関係者によるボイコット要求に加え、代表監督の発言、FAIの試合実施方針、そして英国支配からの独立を求めてきたアイルランドの歴史。

イスラエルとの2試合をめぐる問題は、単なるサッカーの試合開催を超え、アイルランド国内で大きな議論を呼んでいる。