高市首相「3時間睡眠」に「どうやって人間として機能するのか」と驚嘆…デンマーク人が死守する"最低ライン"
※本稿は、針貝有佳『幸せの国デンマークの「じぶん時間」のつくり方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■本当に旅行を満喫したい休暇のメール設定
デンマーク人の中には、デジタルデトックスの時間を「死守」している人がたくさんいます。
「休暇中には不在の自動応答メールを設定する」というのは、国民的な習慣にもなっています。7月の夏休みシーズンは、誰にメールをしてもほぼ不在の自動応答メールが戻ってくるだけです。
ちょっと虚しくもなりますが、バケーション先から慌ててメールの返信が返ってくるよりはずっと健康的です。
私もデンマーク人を見習って、本当に旅行を満喫したい休暇には、不在の自動応答メールを設定するようになりました。すると、メールチェックできていなくてもそれほど気にならず、仕事を忘れて旅行を楽しむことができました。
そんなデジタルデトックスの効果を体験すると、普段の「ちょっと気になってスマホを見る」という行為によって、どれほど豊かな時間が奪われているかということに気がつかされます。
せっかく仕事から解放されて非日常の旅を楽しんでいるときに、メールチェックして意識が日常に引き戻されてしまっては、とてももったいないです。
旅行中のデジタルデトックスは、日常生活から離れて「非日常の世界」を味わううえで効果絶大なので、ぜひ試してみてください。
■スマホの誘惑が激減する待受画面
旅行中だけでなく、デンマーク人は普段から様々な形でデジタルデトックスの時間を作るように心がけています。
たとえば、大手企業に勤めるCさんは、寝室にスマホを持ち込まないと決め、睡眠中はフライトモードに設定するようになりました。また、朝は支度で忙しくて返信する暇がないため、朝起きてすぐにスマホをチェックするのもやめました。
その結果、朝は雑念にとらわれず、気持ちよく朝の支度に専念できるようになったそうです。
日常生活でスマホの誘惑を断ち切るためには、スマホの通知を制限する、スマホの待受画面をモノクロに設定する、といった対策も効果的です。面白いことに、待受画面をモノクロにすると、スマホの誘惑が激減するということが実証されているのだそうです。
スマホの誘惑を断ち切ることは、時間の質を上げてくれます。以前、私自身は仕事中でも家事をしているときでも、チャットやメールの通知が来るたびに返信をしていました。
ちょっと作業を進めてはスマホをチェックして返信し、またちょっと作業を進めてはスマホをチェックして返信して……を繰り返していて、集中力は途切れ途切れ。1日中デスクに座っていても、仕事が捗っていると感じられた時間はほんの僅かでした。
そこで、仕事中は通知をオフにするとともに、できるだけスマホを目の届かないところに置くようにしました。すると、目の前の作業に集中できるようになり、体感としては、仕事の効率が10倍以上アップしたように感じます。
■誰とでもつながれる状態をやめる
スマホ時代に「じぶん時間」を持つためには、デジタルデトックスする時間を意識的に設けるしかありません。仕事でもプライベートでも「つながらない時間」を設定して、いつでも誰とでもつながれる状態をやめることです。
日本で「つながらない時間」を持っている経営者もいます。デンマークの考え方を経営に活かしている女性経営者Sさんは、全社共有のカレンダーに「プライベート」という予定を入力しています。それは「この時間はプライベートタイムなのでつながりません」というシグナルになります。
おかげで、その時間は子どもと一緒にゆったり過ごせるようになり、家庭に笑顔が増えたそうです。
スマホ時代を生きる私たちは、自分や身近な人を守るためにも、デジタルデトックスの時間をしっかり持たなくてはいけないのです。

■「日本の首相の睡眠時間は最長4時間」
人間が生物である以上、睡眠も「しなければいけないこと」です。

ですから、一般的に、デンマーク人は睡眠時間を削りませんし、睡眠時間を削ってまで仕事をさせるという発想がありません。むしろ、毎日の睡眠時間をしっかり確保して、スッキリした頭で気持ち良く1日を迎え、仕事に取り組めることを大切にします。
そんな国民なので、高市早苗首相の就任演説「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」は、デンマークのメディアで驚きとともに、大々的に取り上げられていました。
デンマーク公共放送DRの記事の見出しは「日本の首相の睡眠時間は最長4時間」、有名ポッドキャストの番組タイトルは「3時間睡眠で十分」。これだけお伝えすれば、デンマーク人の驚きぶりが伝わるかと思います。
ポッドキャストの放送を聞いたデンマーク人からは「日本人はどうなってるの? 十分な睡眠を取らないで、人間としてどうやって機能できるの?」と目を真ん丸くして尋ねられました。
■死守する睡眠時間の最低ライン
デンマークでも、野心的な起業家・クリエイター・管理職・メディア関係者や政治家などは、いざというときには深夜でも働き、ものすごい勢いで仕事をします。そんな瞬間に立ち会うと、私は「デンマーク人の火事場の馬鹿力」に驚かされます。
しかし、それはよっぽどの緊急事態や情熱に火がついたときだけ。そうでない限りは、しっかり6~7時間以上の睡眠時間を確保して暮らしています。
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針貝 有佳(はりかい・ゆか)
デンマーク文化研究家
東京・高円寺生まれ。早稲田大学大学院・社会科学研究科でデンマークの労働市場政策「フレキシキュリティ・モデル」について研究し、修士号取得。同大学・第二文学部卒。2009年12月に北欧のデンマークへ移住して、デンマーク情報の発信をスタート。首都コペンハーゲンに5年暮らした後、現在はコペンハーゲン郊外のロスキレ在住。著書に『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』。
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(デンマーク文化研究家 針貝 有佳)
