アメリカ証券取引委員会が「イノベーション免除」を発令、トークン化株式のオンチェーン取引促進のため法規制を期限付きで免除

アメリカ証券取引委員会(SEC)が、「アメリカの金融市場をデジタル時代へ導く」ため、トークン化株式取引所を既存の法規制対象から5年間の期限付きで外す「イノベーション免除」命令を発令しました。
SEC.gov | SEC Issues “Innovation Exemption” to Facilitate the Trading of Tokenized NMS Stock and Request for Comment

SEC.gov | Statement on the Innovation Exemption: A Bridge Toward Durable Rulemaking
https://www.sec.gov/newsroom/speeches-statements/atkins-innovation-exemption-bridge-toward-durable-rulemaking-091726
SEC Issues "Innovation Exemption" - YouTube
米SEC、トークン化株式への規制を5年免除 デジタル資産と従来市場の統合深化 | ロイター
https://www.reuters.com/jp/jp/markets/japan/A3OV3QGTJZODZJ2DXRMJGIVA5Y-2026-09-18/
「トークン化株式」とは、株式証券を電子化したものにあたり、トークン化株式取引所(TSV:Tokenized Securities Venue)が企業の許諾を得て発行します。取引はブロックチェーン上でのやり取り(オンチェーン取引)となり、物理的な取引所の取引時間に縛られることなく基本的に年中無休でいつでも取引可能です。
SECのポール・アトキンス委員長によると、SECはアメリカの金融市場がオントークン取引に移行できるよう、連邦証券法に基づく規則や規制を現代化するための「Project Crypt」を2025年に立ち上げました。その成果が、仮想通貨の分類や当局の管轄を明確化し、市場の透明性や投資家保護を高める「Clarity Act(市場構造法案)」でした。

「Clarity Act」は2026年5月に上院の銀行委員会を通過し、本会議での審議入りを目指しましたが、投票手続きで必要な60票を得られませんでした(賛成49票・反対50票)。法案自体が却下されたわけではないため、再投票を目指すことは可能ですが、中間選挙を控えた時期のため再投票が行われるとしてもかなり先になることが見込まれ、2026年内の成立は絶望となっていました。
そこで、アトキンス委員長はSECとして権限内で可能な「イノベーション免除」を発令し、トークン化株式のオンチェーン取引を促進、アメリカの金融市場をデジタル時代へと導くという意欲を示しました。
アメリカの連邦証券法としては、発行市場が対象の「1933年証券法」と流通市場や取引所などが対象の「1934年証券取引法」があります。
今回の命令は後者の「証券取引法」の第36条(a)(1)に基づき、「TSVを証券取引法第3条(a)(1)で定める『取引所』の定義から除外すること」「『対象企業』と呼ばれる流動性提供者を証券取引法第3条(a)(5)に基づく『ディーラー』の定義から除外すること」という2種類の一時的な条件付き免除措置を認めるものです。
アトキンス委員長は「イノベーション免除」を、投資家保護と市場の健全性基準を満たしつつ、アメリカで責任あるイノベーションの定着を妨げてきた課題を解決することを目的としたものだと述べています。なお、連邦証券法に含まれる詐欺防止と相場操作防止に関する規定は、すべての証券取引活動に全面的に適用されるとのこと。
なお、「イノベーション免除」は公表から5年で期限が切れる予定です。
