「老化細胞」を減らす鍵はタウリン? 貝類やタコに多い成分の可能性と限界を医師が解説
「最近、疲れやすくなった」「以前より体力が落ちた」と感じることはありませんか? 身近な成分として知られるタウリンに、加齢に伴う体の変化にも関わる新たな可能性が報告されました。大正製薬は、タウリンが体内に蓄積する「老化細胞」の除去を促す可能性を、免疫細胞の一種マクロファージ(異物などを取り込んで処理する細胞)を用いた実験で確認したと発表しました。この内容について山本先生に伺いました。
監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
大正製薬が発表した内容とは?
編集部
大正製薬が発表した内容を教えてください。
山本先生
大正製薬は、アミノ酸に似た構造をもつアミノスルホン酸の一種であるタウリンが、「老化細胞」の減少に関与する可能性を、培養細胞を用いた実験で示しました。老化細胞とは、加齢やさまざまなストレスなどによって、細胞分裂を停止した状態になった細胞です。こうした細胞は炎症に関わる物質を分泌することがあり、加齢に伴うさまざまな疾患との関連が研究されています。今回の研究では、免疫細胞の一種であるマクロファージを使って実験を行いました。その結果、タウリンを加えることで、老化させたマクロファージの生存率が低下し、老化したマクロファージの割合も減少しました。これらの結果から、今回の実験条件下では、タウリンが老化したマクロファージの減少に関与する可能性が示されました。
2023年には、タウリンと加齢の関係について動物などを対象とした研究も報告されています。ただし、タウリンの摂取によって人の健康寿命が延びることが確認されているわけではありません。今回の研究も細胞を用いた基礎研究であり、今後さらなる検討が必要です。
タウリンとは?
編集部
今回のテーマに関連するタウリンについて教えてください。
山本先生
タウリンはアミノ酸に似た構造をもつアミノスルホン酸の一種で、カキやシジミ、アサリ、ホタテなどの貝類、タコやイカなどの魚介類に多く含まれています。体内では、胆汁酸の働きや神経系の機能、細胞の浸透圧調整、細胞膜の安定化などに関わっています。タウリンについては、運動パフォーマンスや運動後の疲労、筋肉への影響なども研究されています。一方で、疲労回復への効果や適切な摂取量については、まだ研究の余地があります。日頃の食事で魚介類などからタウリンを取り入れ、バランスのよい食生活を心がけましょう。
内容への受け止めは?
編集部
大正製薬が発表した内容への受け止めを教えてください。
山本先生
今回の研究は、タウリンが老化細胞の減少に関わる可能性を示したという点で、興味深い結果だと思います。タウリンは魚介類などにも含まれる身近な成分であり、その働きの一つとして、細胞老化との関係が明らかになっていけば、健康寿命を考える上でも注目される研究になるでしょう。一方で、今回は培養細胞を用いた基礎研究です。タウリンを摂取することで、人でも同じように老化細胞が減少したり、健康寿命が延びたりすることが確認されたわけではありません。今後、動物や人を対象とした研究が進み、タウリンと老化との関係がさらに明らかになることが期待されます。編集部まとめ
今回の研究では、タウリンが老化した免疫細胞の除去を促す可能性が示されました。タウリンはカキやシジミ、タコ、イカなどの魚介類に含まれる身近な成分です。ただし、今回の結果は細胞を使った実験であり、健康寿命を延ばす効果が人で確認されたわけではありません。まずは魚介類などを取り入れたバランスのよい食事を心がけ、毎日の健康維持につなげましょう。

