車検対応のGR86はどこまで速くなる? A-PITオートバックス東雲が挑む合法チューンの最前線!
筑波サーキット1分切りまで0.3秒の壁! 車検対応でどこまで突き詰められるか
静岡県小山町の富士スピードウェイで2026年9月12日に開催された「FUJI 86/BRZ STYLE」において、A-PITオートバックス東雲の車検対応GR86デモカーが注目を集めました。
ブースの担当者に開発エピソードを伺いました。
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A-PITオートバックス東雲は、これまでも86/BRZのイベントに積極的に出展し、オーナーとの交流を深めてきました。同店の小野さんは「86/BRZのオーナーさんだけがこれだけ集まり、いろいろとお話しできるのはこのイベントならではの魅力」と語ります。
ブースに展示されたデモカーのGR86は、ターボを装着しながらも、あくまで「車検対応」の範囲でどこまで速さを追求できるか、というテーマで開発が進められています。その具体的な目標が、筑波サーキットでのタイムアタックです。
このGR86はすでに「1分0秒3」という驚異的なタイムを連発しているといいます。しかし、小野さんによれば「1分切りまでのあとコンマ4秒が縮められないくらい、安定して0秒3なんです。現状ではこれが限界かもしれません(笑)」とのこと。
タイヤの銘柄やサイズ、さらにはファイナルギアの変更など、さまざまなセッティングを試してもタイムは変わらず、「0秒3の壁」に突き当たっている状況のようです。ドライブを担当した木下みつひろ選手も「また0秒3ですか」と笑ってしまうほど、その再現性の高さは折り紙付き。これは、誰が乗っても安定して速さを引き出せる完成度の高さを証明しているともいえるでしょう。
さらなるタイムアップの鍵は「足まわり」にあり
「0秒3」の壁を打ち破るために、次なる一手として注目しているのがサスペンションです。現在の仕様では、コーナリング時のロールが大きく、足まわりが柔らかいことがタイム更新を阻む一因だと分析しています。
そこで、昨年の「スーパーバトル」の後、サスペンションに改良を加えたといいます。ベースとなっているHKS製の車高調「HIPERMAX S」がリニューアルでストロークを伸ばしたことを機に、A-PITオリジナル仕様の車高調「GATE-SPEC」も改良に追従。スプリングのレートはそのままに、スプリングを30mm延長し、内部のニードルも変更しました。

「以前のモデルは、縁石などに乗ると底付き感がある場面もありましたが、今回のアップデートでそれがなくなりました。それだけでなく、街乗りでもサーキットでも、とてもしっとりとした乗り心地になったんです。たかが30mm、されど30mm。レートを変えずにここまで乗り味が変わるのかと驚きました」と小野さんはその効果を語ります。
扱いやすさと快適性が向上した新しい「GATE-SPEC」サスペンションは、サーキットでのコントロール性を高め、タイムアップへの新たな可能性を感じさせます。このオリジナル仕様の車高調はすでに販売を開始しており、初期ロットはすぐに完売するほどの人気ぶりだそうです。
新たな挑戦! 2.5リッターエンジン搭載のNAチューンド
A-PITオートバックス東雲の挑戦はターボ仕様だけにとどまりません。もう一台のGR86にはHKS製のキットを使って2.5リッター化したエンジンを搭載し、新たなデモカーを製作中だというのです。

通常、排気量アップは構造変更の手続き(公認)が必要ですが、チューニングパーツを装着した状態での排ガス試験や加速騒音試験をクリアするのは非常に困難です。しかし、このデモカーでは、2.5リッターエンジンで排ガス試験をクリアし、合法的に公道を走れる「フル公認」仕様を目指しているというから驚きです。
「2.5リッターだと自動車税も変わらないですし、NAならではのフィーリングも楽しめます。ターボ車ほどのタイムは出ないと思いますが、これはこれで面白いクルマになるはずです」と小野さんは期待を込めます。
現在、エンジンを慣らし運転している段階で、2026年の冬にはサーキットで走り始める予定とのこと。NA(自然吸気)のフィーリングを大切にしながら、どこまでポテンシャルを引き出せるのか。ターボ仕様とは異なるアプローチで開発される新たなデモカーの登場に、多くの86/BRZファンから熱い視線が注がれることでしょう。
「一緒に楽しんでいきましょう」 乗り続けるからこそ分かる魅力
インタビューの最後に、小野さんは86/BRZユーザーへ向けてメッセージをくれました。
「86/BRZは乗っていて本当に楽しいクルマですよね。その楽しさを壊さず、快適性を保ちながら走りの喜びを追求できる、現代では貴重なスポーツカーだと思います。私たちも皆さんと一緒にこのクルマを楽しんでいきたいです」

小野さん自身もGR86のデモカーで東京から福岡まで自走したこともあるそうです。「片道15時間くらいかかりましたけど、かなり楽でしたよ」と笑います。長距離をものともしない快適性と、サーキットでコンマ1秒を削る楽しさ。その両方を高い次元で実現できるのが86/BRZの魅力なのかもしれません。
車検対応の枠組みの中で速さを追求し、ユーザーが安心して楽しめるパーツを開発し続けるA-PITオートバックス東雲。その情熱が、これからも多くの86/BRZファンのカーライフを豊かにしていくことでしょう。

