【現代ビジネス編集部】「六本木クラブ襲撃事件」の主犯格・見立真一に”プーケット潜伏情報”、現地取材でわかった「逃亡犯が集まりやすい理由」
カンボジアからタイへ移動か
「見立真一がタイのリゾート地に潜伏している、との情報がある」
2026年2月、タイの警察関係者A氏からそんな情報提供が舞い込んできた。日本人が絡む事件を担当している人物だ。現地の複数の関係者から、見立が潜伏している場所の情報が入ってきているとのことだった。
見立真一(47歳)といえば、「六本木クラブ襲撃事件」の主犯格として知られる国際指名手配犯である。2012年9月2日、目出し帽をかぶった9人の男が東京・六本木にあったクラブ「フラワー」を襲撃。VIPルームにいた飲食店経営者の男性を金属バットで撲殺した。見立を含む犯人グループは半グレ組織「関東連合」のメンバーらで構成されており、その凶暴性を世に知らしめる象徴的な事件だった。
事件後、見立はフィリピンに逃亡したとされているが、その後の足取りは掴めていない。「カンボジア潜伏説」なども報じられてきたが、A氏は「見立は潜伏先をカンボジアからタイに移したようだ」と指摘する。
「カンボジアでは近年、特殊詐欺の取り締まりが強化され、日本人の犯罪組織の摘発も進んできました。そうしたなかで、どうやら見立はタイに拠点を移したようです。見立が潜伏しているリゾート地のプーケットは、タイのなかでも最も警察の汚職が進んでいるとされている場所です。ロシアによるウクライナ侵攻後、戦禍から逃れるために多くのロシア人マフィアがプーケットに流入したことで不法ビジネスが蔓延し、賄賂に目がくらんだ地元警察の腐敗が進んでいるのです」
プーケットで現地取材
そうしたなか、今年5月には「X」で、ある写真が出回った。撮影地はプーケット。写っているのは、暴力団関係者や見立の事件と関係があるとされる人物たちが円卓を囲んでいる様子だ。
関東連合OBと親しいタイ在住の日本人男性(40代)が言う。
「見立がプーケットにいるという情報は界隈で広まっています。そんななかで日本人の写真が出回ったため、関連性を指摘する声も出ている」
「見立真一プーケット潜伏説」については、元神奈川県警の刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏もこう語る。
「有力な筋から、見立がプーケットの高級ヴィラに滞在しているという情報を得ています。特殊詐欺などで不法に得られた犯罪資金が、見立の逃亡資金に充てられている可能性も十分考えられる」
はたして、見立は本当にプーケットにいるのか。取材班は現地へ向かった。
プーケットの空港に到着すると、「スパシーバ(ロシア語でありがとう)」を連呼するアナウンスが至るところで流れていた。タイ語よりも先にロシア語の案内がされることもあった。周りを見渡すと、ロシア人や中東系の旅行者で溢れかえっており、日本人の姿は見当たらなかった。
Xで出回った写真が撮影されたのは、空港から車で約30分の高級リゾートホテル。周囲は閑散としていて、宿泊客と従業員以外の姿はない。木材を基調とした落ち着いた広いロビーには胡蝶蘭が飾られ、ヒジャブを着たイスラムの大家族がくつろいでいた。
ホテルの従業員によると、部屋の種類はホテルとヴィラで分かれており、写真はヴィラで撮影されたものとのことだった。ヴィラの宿泊価格は、寝室の数によっては1泊50万円以上に上るという。
ヴィラはそれぞれのオーナーが管理しており、見学が難しいということだったが、ホテルの一室を見せてもらうことができた。部屋にはアンダマン海を一望できる豪華なプライベートプールがあった。広めのキッチンが完備され、長期滞在をする客もいるという。
逃亡犯にとっては滞在しやすい場所
ホテル従業員に見立の写真を見せてみたが、「分からない」という回答だった。「宿泊客は中国人やインド人、アラブ諸国の人がメインで、日本人はほとんど泊まりにこない」という。
プーケットには世界各国の食事を楽しめるレストランがあり、配達アプリを使えば外出しなくても食に困ることはない。多種多様な娯楽施設があるが、日本人は少ないため、人目を気にする必要もない。高級リゾートであれば、プライバシーが守られ、長期滞在をしていても不審に思われることはない。資金さえ豊富にあれば、逃亡犯にとっては滞在しやすい場所ともいえる。
また、日本とタイは犯罪者の引き渡し条約を結んでおらず、日本の捜査権はタイに及ばない。一方、近年タイではオンライン詐欺などに手を染める外国人への懸念が国民の間で高まっており、日本人を含む外国人犯罪者の取り締まりも強化されてきている。見立のような国際指名手配犯の捜査に向けて、日タイ警察の協力深化が急務だ。
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