ベネズエラ西部にある原油をくみ上げるポンプ(1月)=ロイター

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 【ワシントン=上村健太、リオデジャネイロ=南部さやか】米政府は8月末、ベネズエラの石油開発に関与し、原油を優先的に確保する協定で同国と合意したと発表した。

 イラン情勢に伴うエネルギー高で米国民の不満が高まる中、トランプ大統領には、11月の中間選挙に向け支持率の回復につなげる思惑がある。ただ、本格的な採掘開始には数年を要するとの見方もあり、成果が出るには時間がかかりそうだ。

中露の権益排除

 米ホワイトハウスが8月31日に公表した合意事項によると、米政府はベネズエラの石油開発企業と提携し、同国の総埋蔵量3000億バレル超の約2割に当たる約650億バレルの油田で、100年間の採掘の権益を得る。米政府が同企業を主導する内容で、トランプ氏は「世界史上最大の石油取引だ」と強調している。

 反米政権が続いたベネズエラでは中国やロシアの企業も一部の油田事業を運営している。米政府は「これらの国はベネズエラの資源を略奪し、開発投資を怠った。我が国の裏庭から悪意ある影響力を一掃する」と非難し、中露の石油権益を排除する姿勢を示している。

野党指導者は反発

 合意の背景には中間選挙を前に国内世論を意識するトランプ氏の事情がある。ロイター通信などが今月14日に報じた世論調査では、ガソリン価格上昇などの米国民の不満を背景に、トランプ氏の支持率は35%と低迷を続ける。米紙ワシントン・ポストも、イラン情勢が行き詰まり、ガソリン価格の高騰が有権者の関心事となる中で合意が発表されたと指摘した。

 今回の合意を可能にしたのは暫定政権の発足だ。今年1月、米軍の作戦でニコラス・マドゥロ大統領が米国に連行されたことを受けて発足した。米国はベネズエラ再建計画を示し、石油権益の拡大を目指してきた。

 ただ、ベネズエラの野党からは、米政府と暫定政権が国の資源を長期にわたって拘束することへの批判が出ている。野党指導者マリア・マチャド氏は3日、SNSで「合意内容は透明性を欠いている。石油資源は国民のものだ」と反発した。

施設の復旧には数年?

 ベネズエラ暫定政権は、米政府主導の企業が老朽化した石油関連施設の整備に1000億ドル(約15・4兆円)規模の資金を投じることで石油産業の再建が進むと期待し、約2090億ドル(約32兆円)の税収を見込む。デルシー・ロドリゲス暫定大統領は、米国との合意を「石油産業の復興や経済成長に役立て、国民の福祉につなげる」と強調した。

 だが、AP通信は、老朽化した石油関連施設の復旧には数年かかるとの専門家の見方を伝えている。さらに、電力などのインフラの不備もあり、採掘の見通しは不透明だ。