織田翔希(C)共同通信社

写真拡大 (全2枚)

「自分の意思で決めたいなと思っています」

【もっと読む】横浜・織田翔希が進路報道過熱に「どんどんやっちゃって」とあっけらかん!

 台湾で行われたU18アジア選手権で準優勝に終わった日本代表の157キロ右腕・織田翔希(横浜高3年)は大会後、自らの進路に関してこう言った。

 台湾にはメジャー18球団のフロント幹部やスカウトが、ネット裏から織田の投球に熱視線を送ったものの、「本人の意思は、すでにドジャース入りで決まりつつある」とセ・リーグのあるスカウトはこう続ける。

「台湾にはドジャースがフロント幹部を含む複数のスカウトの他、ドジャースの幹部と懇意にしている広告代理店関係者の姿もありました。佐々木朗希(24)がドジャースを選んだときに暗躍した人物です。ドジャースは5億円を超す契約金と通訳まで用意しているとのウワサもあるほど。一時は熱心だったヤンキースも撤退ムードだと聞きました」

 ドジャースと言えば大谷翔平(32)や山本由伸(28)もいて今季はワールドシリーズ3連覇のかかっている人気、実力ともメジャーナンバーワンの老舗名門球団。そんなブランドに加えて大金までぶら下げられたら、織田でなくても飛び付きたくなるところだが、ちょっと待った、だ。

 日本のアマチュア選手のメジャー挑戦は「25歳ルール」にのっとって行われる。25歳未満の選手はマイナー契約になり、契約期間は1月15日から12月15日まで。契約金は各球団に割り当てられた国際ボーナスプールの範囲内で支払われ、ボーナスプールはトレードなどによって増やすこともできる。

「新労使協定が期限までにまとまる可能性は50%以下」

 しかしながら、「25歳ルール」を含む現行の労使協定は、今年の12月1日で失効する。現在、大リーグ機構(MLB)及びオーナー側と選手会側は新労使協定の締結に向けて交渉を重ねているとはいえ、期限の12月1日までにまとまる保証はどこにもない。新協定がまとまらない限り、ルール自体がないのだから、契約もできないし、新労使協定がいつ、まとまるかは予想がつかないという。

「現時点で新労使協定が期限までにまとまる可能性は50%以下と言われています。経営者側のロックアウト、もしくは選手会側のストライキに発展する可能性が高いということです」と、野球文化学会会長で名城大教授の鈴村裕輔氏はこう続ける。

「オーナー側は年俸総額の上限を定めるサラリーキャップ制の導入を求めています。MLBもオーナーも、これまで選手会が断固として拒否しているサラリーキャップ制が容易に実現するとは考えていません。拒絶されることが明白な要求を取り下げる代わり、選手会の求める最低年俸の引き上げ幅を抑えたり、機構が折に触れて提起している国際ドラフトを導入したりするための布石とも言えます」

 機構やオーナー側にとって、国際ドラフトはサラリーキャップ制と天秤にかけるくらい重要なもの。選手会側にとっては死活問題につながりかねない制度だという。

「現行の25歳ルールは国際ボーナスプールの範囲内とはいえ、半ば自由競争で選手を獲得できる制度です。メジャーのドラフトは米国、カナダ、及び米国領の選手が対象ですが、それ以外の国や地域の選手もドラフトによって獲得することになると、例えば、これまでドラフト1位で指名されるはずの米国の選手は、国際ドラフトで1位クラスの日本人選手との比較になって評価を下げる可能性が出てくる。オーナー側にとっては米国以外の有望選手を自由競争でなくウエーバーで獲得できるようになり、米国のアマ選手は結果として既得権益を失いかねない。国際ドラフトが導入されれば、時期は米国同様2027年6月、あるいは日本の状況を視野に入れて27年の秋口になるかもしれません」(同)

 国際ドラフトが導入された場合、“既得権益”を失いかねないのは織田も同じ。「5億円超」ともウワサされる契約金は「自由競争」の25歳ルールだからこそ。国際ドラフトのウエーバーになれば、米国のドラフト対象選手との比較にもなるわけで、金額も制限される可能性が高い。

 なにより新労使協定が締結されない限り、海を渡れないし、新協定によって25歳ルールが維持されなければ、「5億円超」といわれる契約金もメジャー球団との“合意”もすべてパー。国際ドラフトが導入されようものなら、行きたい球団を選ぶことすらできなくなるのだ。

 織田は「自分の意思で決める」というが、決断する前に現在のメジャーの状況をよく考えた方がいいかもしれない。

  ◇  ◇  ◇

 そんな織田は自身の進路を巡る一連の報道についてどう思っているのか。話を聞くと、それはもう意外な言葉が返ってきた。●関連記事 【もっと読む】横浜・織田翔希が進路報道過熱に「どんどんやっちゃって」 では、それらについて詳しく報じている。