のん(撮影:nara/vale.)

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現在公開中の映画『平行と垂直』で、安田章大演じる自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴を支える妹・希を演じる、のん(33)。

「2人がけんかしたり、問題を乗り越えたりする姿がすごく愛おしくて、心温まる物語だなと思いました。ASDの当事者だけでなく、そのきょうだいや家族に目を向けていることも新鮮でした」

役作りでは、ASDのきょうだいを持つ心理カウンセラーにも話を聞いた。

「印象に残ったのが、相手が言葉や表情で気持ちを示してくれなくても、きっとこう思っているんだと想像しながら接している、というお話。希の大貴への接し方を考えるヒントになりました」

そんな希は、自身も結婚という人生の大きな岐路に立つ。

「希にとって大貴は唯一の家族。いざとなれば自分の望みを諦めることも考えながら、それでもどうにか頑張りたいと思っているんじゃないかなって」

では、のん自身が人生の岐路で大切にしていることは……。

「自分が“張りのある笑顔”をしていられるかどうか。なので、日ごろからあまり無理はしないです。無理しようとしてもできないタイプなので(笑)。仕事なら、その役を自分が面白いと思えるかも大切ですね」

ドラマや映画への出演も続く。俳優の仕事が面白いと感じるのはどんなときなのだろうか。

「すべての歯車がうまくはまって、その場にいる全員が“いいね!”って思っていることがわかる瞬間があるんですよね。そういう場面に立ち会えると、やっていてよかったって感じます」

今年、「のん」として活動を始めて10年。その年月を振り返ってもらうと、「すごい頑張ったなって思います」と笑う。

「自分を褒めてあげなきゃって(笑)。いい表現ができて、それが見てくれる人に伝わったり、次の仕事につながったり。点と点が結びついたと感じられると、すごく充実感がありますね」

大変なときにも踏ん張れたのは、自ら選択してきたからこそ。

「作品を決めるときでも、自分に決定する権利があって動いていると、自分でちゃんと責任を取れるから、大変なことがあっても踏ん張れる。私にとっては、それがすごく健やかなんです」

年齢を重ねた今、周囲との関係にも変化を感じている。

「最近、年齢って便利だなって思うようになりました(笑)。年下の人も増えたし、年上の方も対等に話してくださるようになって、ひとつハードルが下がった感じがします」

そんな今だからこそ、これからが楽しみだ。

「もっともっと自由になっていけるなって感じています」

【INFORMATION】

映画『平行と垂直』

公開中。幼いころに母を亡くし、支え合って生きてきた兄・大貴(安田章大)と妹・希(のん)。自閉スペクトラム症の大貴は清掃員、希はカウンセラーとして働きながら、変わらぬ日常を送っていた。しかし、希へのプロポーズをきっかけに、2人は互いの人生とこれからに向き合っていく。

スタイリング:町野泉美
ヘアメイク:菅野史絵