【高橋名人の冒険島】 1986年9月12日発売

 1986年9月12日にハドソン(現:KONAMI)が発売したファミリーコンピュータ用ソフト「高橋名人の冒険島」が、本日で40周年を迎えた。

「高橋名人の冒険島」 ※パッケージ画像提供:コナミデジタルエンタテインメント

 本作は、主人公の高橋名人(※以下、名人)を十字キーと攻撃、ジャンプ(または加速)ボタンで操作し、石オノなどの武器で敵を倒したり、障害物を避けながらゴール地点に到達するとステージクリアとなるアクションゲーム。名人が敵やファイアなどの障害物に触れる、または画面外に落下するとミスとなるほか、特定の障害物に触れたり、一定時間が経過するごとに減るバイタリティ(体力)がゼロになった場合もミスとなる。

 ステージ数は全32ステージで、4ステージ単位で全8エリアに分かれている。各エリアの最後のステージではボスキャラにあたるキュラ大王が出現し、キュラ大王を倒せばステージクリアとなる。ミスをすると名人のストックが減り、ストックがゼロになるとゲームオーバーになる。

 以下、本稿では筆者が本作の発売直後、友人たちと夢中になって遊んだ体験をもとに、本作ならではの特徴や魅力をまとめてみた。

※写真はファミコン版「高橋名人の冒険島」で撮影(以下同)

原人になった名人を操作する、新鮮かつ大苦戦した思い出

 筆者が本作の名前と画面写真を最初に見たのは、おそらくマンガ雑誌「コロコロコミック」のファミコン特集記事だった。本作が登場する以前から敬愛してやまない、あの名人が原始人に扮し、南の島と思しき世界を舞台に石オノを投げて敵キャラと戦う、その光景にはただ驚かされるばかりであった。

 憧れの名人を自身の手で操れるワクワク感に加え、テレビ番組に出演した名人が、自ら本作をプレイする姿を発売前から何度も見たこともあり、筆者は「欲しい、遊んでみたい!」と率直に思った。だが、あいにく筆者は同年6月に購入した、同じくハドソン(現:KONAMI)の「スターソルジャー」に小遣いを投じていたので本作を買うことはできなかったが、幸運にも発売直後にソフトを購入した友人が何人かいたので、すぐさま遊ぶ機会に恵まれた。

 タマゴを割ると出現する石オノを取ることで敵キャラを倒せるようになり、石オノで壊せない障害物はジャンプでかわすといった基本ルールは、とてもシンプルでわかりやすい。操作方法も左右の移動とジャンプ、加速および武器の発射ボタンだけなので、筆者も友人たちもすぐに覚えられた。

【名人の武器は石オノ】

ゲーム開始直後に出現するタマゴを割ると、中から石オノが出現する

石オノは打撃ではなく飛び道具。軌道は放物線を描き、最大2本まで同時に投げることができる

 基本ルールと操作方法のシンプルさとは裏腹に、ゲームの中身は筆者も友人たちも、とにかく「難しい!」というのが本作の偽らざる実感だった。

 移動中の名人は急には止まれず、特にBボタンで加速後はなかなかブレーキが効かず、かなりの距離をスリップしてしまう。しかも、敵や障害物の配置が先に進むにつれてどんどん複雑になるので、一瞬の油断が命取りになってしまう。ステージ1-3などの舞台となる氷の洞窟では、さらにスリップしやすくなるのでもうタイヘン。

 名人のバイタリティは、各ステージでひんぱんに出現するフルーツを取ると少量ではあるが回復する。フルーツの出現位置は毎回同じだが、一定時間が経過すると消えてしまうので、一見すると簡単に取れそうな場所でも、いざやってみると意外に取りにくいケースが実に多い。加速またはジャンプ台を利用したうえでの大ジャンプが必須、あるいは触れるとバイタリティが減る岩や、即ミスになるファイアのすぐそばにフルーツが配置された場面も頻出するので、バイタリティが切れかかったときの緊張感も半端なものではなかった。

 ほかにも、火を吹いて攻撃を仕掛けるコブラ、突然飛び掛かってくるケロ、背後から高速で迫るコヨーテなどの難敵が次々と登場し、上に乗ると突然落下したり上昇したりするリフトなどの仕掛けも随所に用意されている。見た目はとてもコミカルなのに実に手強い、計算され尽くした敵キャラや障害物、フルーツの絶妙な配置の数々には、子供心に本当に驚かされた。

ジャンプ台から勢いよく飛び出した直後にバナナが出現! しかし、着地点付近には当たると即死するファイアが待ち受ける

ステージ1-3など、氷の洞窟では床がツルツル滑り操作がさらに難しくなる

写真のリフトは乗ると急上昇するため、前もって覚えておかないとジャンプに失敗しやすい

 タマゴから石オノのほかにも、スケボーがよく出現する。

 スケボーに乗った名人は、より高速で走れるようになり、最高速のままジャンプすれば邪魔な敵や障害物を一気にかわすことも可能となる。そのあまりの気持ち良さゆえ、ついつい勢い余って敵や障害物に突っ込んだり、ステージ1-2では海中にドボンと飛び込んだりするミスを、いったい何度繰り返したことか。またスケボー使用中は、いったん動き出したら自力で静止できなくなることもあり、使いこなすのが実に難しかった。

 ただ本作には、原始人ルックの名人の身を守るヨロイなどの防具は登場しないこともあり、場所によってはバリア代わりにも使えることに程なく気付いた。なので、スケボーが出現するたびに乗るか、それともスルーするのか、毎回悩まされつつも楽しんだ記憶が今もおぼろげに残っている。

【スケボーでスピードアップ】

スケボーに乗った名人は、どんなマップ上でも高速でスイスイ進むことができる

ステージ1-2より。邪魔な敵のレッドオクトを、スケボーを利用した大ジャンプでひとっ飛び!

敵や障害物に触れるとスケボーは消えてしまうが、バリア代わりにも使える

 各エリアの4ステージの最終地点では強敵、キュラ大王との一騎討ちになる。

 キュラ大王は、通常の敵キャラとは比較にならないほど体が大きく、しかも画面の左端ギリギリの位置まで近付くこともあるので、最初に戦ったときはかなりの威圧感があった。加えて、キュラ大王出現時に流れるBGMが恐怖感を大いに煽ることもあり、慣れるまでの間は毎回緊張したことを今でも鮮明に覚えている。

【ボス敵の名は「キュラ大王」】

火の玉を投げつつ、名人の目前まで迫り来るキュラ大王の威圧感は凄まじかった

唯一の弱点、頭に石オノを数回当てて倒すと首が落ち、新しい首に生え変わる演出もかなりのインパクトがあった

今なお忘れることができない、あっと驚く裏技の数々

 ファミコンブーム真っ盛りのタイミングで登場した本作もご多分に漏れず、多くの裏技が隠されていたことでも思い出深い。

 筆者が最初に知った裏技は、発売前からファミコン専門誌などに掲載されていた、ステージ1-1などの特定の地点から進めるボーナスステージの出現条件だった。

 ステージ1-1では、背景にトーテムポールが並んだ場所で待機していると、名人をボーナスステージへと誘導する雲が出現するのを事前に覚えていたおかげで、筆者は初プレイでボーナスステージに進むことができた。雲が出現した直後、ハイテンポでノリノリのBGMに切り替わり、連続でジャンプ台を飛び移りながらフルーツを取るのもこれまた気持ち良かった。

【ボーナスステージ】

ステージ1-1で、写真の位置付近で少しの間待っていると……、

画面下部から雲が出現してボーナスステージに進むことができる

 同じく、本作がちょうど発売された頃に見たテレビ番組(※はっきり覚えていないが、おそらくプレイヤーは名人本人だった)で覚えた超重要な裏技が、特定の位置でジャンプすると出現する隠れタマゴの存在だった。

 隠れタマゴには、石オノでは壊せない岩やゴロック(巨大な岩)をも破壊する、強力な武器のマジカルファイアのほか、バイタリティが通常よりも5ポイント増えるレッドミルクなどが入っていることもあり、自力で発見に成功したときは嬉しくてたまらなかった。

 筆者はステージ1-1の序盤に出現する隠れタマゴの位置を事前に知っていたおかげで、今となっては実に偉そうだが、実際に友人たちの前でやって見せて自慢した思い出がある。その後、隠れタマゴの出現地点に武器を当てると、武器がその場で消える(※通常は地面を貫通して画面外に飛んで行く)ことに気付いたおかげで、ますますタマゴ探しが楽しくなった。

【隠れタマゴでパワーアップ】

ステージ1-1序盤にある隠れタマゴを割るとマジカルファイアが出現!

マジカルファイアで岩を破壊すれば、さらに安全に前へ進むことができる

同じく、隠れタマゴから出現するレッドミルクも実にありがたいアイテムだ

 そして何より、筆者が本作で最も嬉しかった裏技は、ステージ1-1の終盤に出現する隠れキャラの「ハチ助」の取り方であった。「ハチ助」がありがたかった理由はズバリ、取るとゲームオーバーになってもコンティニューが何度でも可能になるからだ。

 コンティニューすると、ゲームオーバーになったステージのスタート地点に戻されてしまうが、コンティニューができるおかげで先のステージへどんどん進めるようになり、「これで全ステージクリアが狙えるぞ!」と大いにモチベーションが上がった。

【懐かしの隠れキャラ「ハチ助」】

ステージ1-1終盤の隠れタマゴを割ると、当時のハドソン(現:KONAMI)のアイコンだったハチ助が出現する

 ところが、そうは問屋が卸さなかった。先のステージに進めば進むほど、岩やファイア、動くリフトなどのトラップが頻出して難易度がどんどん上がったからだ。

 特に厳しかったのが、ステージ4-2や4-4など、途中でミスをした後の復活パターン作りだった。本作はミスをするとリスタート時に一切の武器を失ってしまうが、これらのステージでは場所によってはしばらくの間、石オノが出現しないため、本来は簡単に倒せる敵をすべて避けるパターン作りが必須となるのが実につらかった。

 結局、どこのステージなのかは忘れてしまったが、リスタート時に石オノがなかなか取れないステージで何度コンティニューを繰り返してもクリアできず、筆者も友人たちも途中でサジを投げてしまった。それでも本作を通じて未知のステージ、あるいは雑誌の記事でしか見たことのない場面に進むたびに何度もワクワクし、大いに楽しい時間を過ごすことができた。

ステージ4-2の途中でミスをすると、リスタート地点からしばらくの間、石オノが出現しないので復活が実にタイヘン

こちらはステージ4-4。開始直後から敵キャラだらけの試練が続く

 本作は、2014年に配信されたWii U版を最後に、現在に至るまで久しく移植されていない。本編では触れなかったが、1987年に発売された「高橋名人のBUGってハニー」、1991年に発売された「高橋名人の冒険島II」のほか、1992年に登場したスーパーファミコン用ソフト「高橋名人の大冒険島」、2009年にWiiウェア専用ソフトとして配信された「高橋名人の冒険島Wii」など一連のシリーズ、関連作品も、昨今ではすっかり見かけなくなった感がある。

 発売40周年を迎えた記念すべきタイミングで、現行の各プラットフォームで配信、または移植され、手強くも面白い本作が再び日の目を見る機会がやってくることを切に願いたい。1986年当時、105万本も売れた(※本数の出典は「CESAゲーム白書」)人気タイトルをこのまま放置するのは、あまりにももったいないというものだ。

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