「涙腺崩壊級の感動…」とジャーナリストも絶賛! 日産の“元祖”「“最高峰”ミニバン」がスゴイ! 「三位一体の最新技術」採用で走りと快適性を両立した「新型エルグランド」“最上級仕様”の実力とは!
“元祖PMV”の大復活に涙腺崩壊級の感動! その理由とは!?
16年ぶりにフルモデルチェンジした日産「新型エルグランド」の試乗を終えたモータージャーナリストの南陽一浩さんは、「“元祖PMV”の大復活に、涙腺崩壊級の感動を覚えた」と興奮冷めやらぬ様子で語りました。
街中から山道、高速道路などさまざまな道をじっくり走らせてみてわかった、新型エルグランドの印象について紹介します。
「“PMV(ピーエムヴイ)”って何?」という声もあるでしょうが、界隈では30年近く前から“SUV(エスユーヴイ)”と同じぐらい当たり前だった用語。そう、「プレミアム・ミニバン」のことでして、1997年に登場した日産の初代エルグランドから始まったジャンルです。
【画像】超カッコイイ! これが日産の“元祖”「“最高峰”ミニバン」です!(80枚)
エルグランドは元祖としてPMVを切り拓きはしたものの、トヨタが「グランビア」に代わって2002年に10系「アルファード」を投入して以来、20系、30系、40系と、お株を奪われ続けていたのも事実。
エルグランドとしてFRベースの2代目も、FFベースに方向転換しながら3.5リッターV型6気筒のVQエンジンを守り続けた3代目も、それぞれ意欲作でしたが、実質的に2014年以降はビッグマイナーチェンジにとどまっていたため、4代目となる新型エルグランドはじつに16年ぶりと満を持しての全力投球フルモデルチェンジです。
そのレシピは明快で、日産の最新技術×3の三位一体です。
ひとつ目は第3世代「e-POWER(イーパワー)」、ふたつ目に4輪の駆動と制動を各輪制御する「e-4ORCE(イーフォース)」、さらに車の姿勢と車輪速度、ステアリング舵角などから挙動を推定予測し、1/100秒単位で連続的に電子制御で減衰力を変える可変ダンパーこと「IDS(インテリジェントダイナミックサスペンション)」が3本目の柱です。
全長4995mm×全幅1895mm×全高1975mmと、先代モデル比で+30mm長く、+45mm幅広く、+16mm高いですが、ドルフィンアンテナ2丁がけなので前後シルエットはギリ立方体気味。ジャスト3mというホイールベース3000mmは変わらずです。
つまりパッケージ&デザインの点では、車内空間を長く広く造り込む方向で、具体的には2列目シートの膝まわりと足元にゆとりをもたせ、ドライバーのアイポイントも従来比+76mmも引き上げています。
日産によれば、これは競合車やミドルクラスミニバンの「セレナ」よりも高く、それでいて運転席&助手席から2列目・3列目シートにかけて、ヒップポイントごと高くするシアターレイアウトを採ることで、すべての乗員に見晴らしよさを確保しています。
ラウンジ感を目指しつつもドライバーと走りに重きがあった従来のエルグランドと、はっきり一線を画すのはこの“プレジャー&空間シェア感覚”でしょう。
2列目シートは「ゼログラビティシート」と称され、柔らかいヘッドレストやオットマン、50cmもの幅広座面を採用しただけではありません。
背もたれを倒しても上側1/3だけ独立して起こせるデュアルリクライニングを電動で実現し、分厚めのクッションストロークと相まって、座る人の体重を広い面積に分散させます。
アームレストは上げ下げ式のバータイプで、新幹線のグランクラスとか旅客機のビジネスクラス風の“お尻を嵌め込みタイプ”ではありませんが、シートヒーターもベンチレーションも完備。
また室内が広い分、エアコンが効き出すのに時間がかかるのがPMVの欠点でしたが、新しいエルグランドは強電PTCヒーターを備え、シートヒーターやステアリングヒーターとも協調制御することで、エンジンが温まるよりも素早く車内をを暖められるのだとか。
日産によれば外気温がマイナス20度の条件下で、他社競合車よりも3倍以上も速く車室内が25度に達するのだそうで、雪国暮らしにも寒がりにも朗報です。
今回の試乗車は、最近の日産車らしく2グレードのみに絞られた「X」(X e-4ORCE)と「G」(G e-4ORCE)のうち、上級グレード相当の後者でした。
ダークメタルグレー外装に、内装は「紫檀-シタン-」が組み合わせられています。Gには他にもホワイト系の「銀雪-ギンセツ-」がありまして、カッコで括るのではなく、音引きごと世界観を表しています。
「走らせて気持ちいい」+「乗員が心地よく過ごせる」を両立させる“凄い技術”とは
まず運転席に乗り込むと、ダッシュボードからドアパネルにまで強調された水平基調の広がり感と、日産独自のテーラーフィット生地による、視覚的にも柔らかな質感の包み込み効果があります。
センターコンソールと助手席側ドリンクホルダーに、ワンプッシュ開閉式のフタがあること自体が好印象。プラスチックの固い触感は隠せないものの木目調の表面加工が施されており、Gグレードならではの14.3インチの大型統合インターフェイスディスプレイも相まって、モダンで落ち着いた高級感、デリカシーを感じます。
クロームメッキとか加飾パネルの面積で高級感や質感を稼ごうとしない、「SAS(サザンオールスターズ)」とか「湘南乃風」より、「ボズ・スキャッグス」でも似合いそうな、そういうアダルト・コンテンポラリーなところが新型エルグランドの世界観です。

走り出して即、気づかされるのは、大の男が3人も乗って緩やかな登り坂でストップ&ゴーをしているというのに、5m近い体躯とモノスペースに近い車型とは裏腹な、加速の滑らかさ、そして静けさ。
フロント330Nm、リア195Nmで合計525Nmという数値は日産的にはV型8気筒エンジン相当とのことで、トルクの立ち上がりが早くアクセルを踏み続けるほどリニアに伸びていく力強さです。
静粛性の高さは、フロア周りの遮音材やファイアウォールの吸音材、さらにはフロントから2列目まで高性能のラミネートガラスを採用していることが効いています。
が、そもそも3気筒1.5リッターターボエンジンが唸らないこと、5in1構成でコンパクトなだけでなく、振動剛性もマウント剛性も高めた第3世代e-POWERユニットであることがデカいです。
前者のエンジンは今回、新型エルグランドが初採用&初搭載となる発電特化型ですが、トルク要求が強まる領域でも熱効率を向上させたことで、高速巡航については後述しますが、発電に美味しい領域が広がっているといいます。
さらにドアスピーカーから繰り出される「アクティブノイズコントロール」、つまりロードノイズやエンジン音を積極的に打ち消すノイズキャンセリングの効きも、相当なレベルです。
オーディオ設定画面でオフにしたところ、確かにさっきまでなかったタイヤの転がり音、フロアのわずかな反響音が聞こえてきました。
ちなみにゼロ発進と制動を繰り返すような走り方でも、e-4FORCEが前後のトルク配分を制御して、加速時はスクワットを抑え車体をフラットに保ち、制動時はブレーキ圧をわずかに抜くことで、停止直前の前のめりカックンを防ぎます。
ドライバーが走らせて気持ちいいプラス、乗員が心地よく過ごせることにも最大限貢献する制御コンセプトなのです。
佳き日産らしさが濃厚に表れた「感涙モノ」の仕上がりに
ワインディングでは、新型エルグランドの極上ライドに磨きがかかります。
まず着座位置が高いのにステアリング操舵時のロール感が絶妙で、肩口や頭を揺すられる感じがしません。
日産の開発陣いわく、2列目シートの上半身揺れも抑えられているので、手元のスマホから視線ズレが、競合他車より65%も少ないそうです。
ドライブモードをスタンダードから、開発陣のお勧めというコンフォートにすると、路面のうねりや凹凸に対して適度にレイドバックの効いたストロークに、ゆったりと上品な収束感が伴ってきます。
インテリジェントダイナミックサスペンションの働きもさることながら、18インチでハイトの高いタイヤであることも、奏功しています。

さらに驚かされるのは、舵角が残っている状態で中速コーナーの途中で早めにアクセルを開けても、狙ったラインのままスルリとコーナーを脱出してしまう感覚。背の高いハコにありがちな、姿勢を乱してヨレるといった現象がまるで起きません。
スタンダードが真ん中で、その上のスポーツモードもあるのですが、コンフォートモードのままでワインディングが気持ちいいことに、シトロエンやジャガー乗りでもびっくりするのではないでしょうか。
高速巡航では運転を代わってもらって、「プロパイロット2.0」をONにしてもらいつつ、2列目ゼログラビティシートに身を任せてみました。
元より根こそぎ振動が少ない構成のパワーユニットに、完熟シャシーで徹底したNVH(Noise:ノイズ/Vibration:振動/Harshness:荒々しさ・突き上げ)対策と積極的な姿勢制御を載せ、ミニバンらしからぬ操安性と乗り心地=PMVらしい走りを突き詰めたところが、新型エルグランドが醸し出す正のスパイラルといえるでしょう。
メーターパネルを後ろから覗き込めば、隣車線の他車を認識しつつ、車線中央キープも前走車との車間キープも自然でこなれています。その最大の恩恵をドライバーと同じぐらい享受できるのが、2列目ゼログラビティシートという訳で、確かにリニアモーターカーにでも乗っているような浮遊感があります。
惜しむらくは、最小回転半径5.8mはアルファードよりわずかに小回りが利くものの、オーバーハングは長く、車両撮影時に意外と車の向きを変えるのに苦労しました。
またWLTCモードで16.8km/Lというカタログ燃費もアルファード(ハイブリッドE-Four)に迫る数値とはいえ、フラットボトム化など、もうひと押し欲しかったところ。
ただし、もしリア操舵機構を前提にホイールベースを伸ばしていたら、重量もより嵩んでかくも素直な走り味になったかどうか。だからコスト面でも、いいバランスであることは間違いありません。

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まとめますと、静的にも動的にも、新型エルグランドには佳き日産らしさが濃厚に表れています。
乗り心地は優しく、走りは滑らかで力強く、前後シート間で会話の声は通りやすく。素材が違うとはいえ往年のミッドナイトパープルを少し想起させる「紫檀-シタンー」内装まで含め、日産らしい先進性と上質さがキチンと表現されているところが、感涙モノなのです。
価格(消費税込)は「X」が689万7000円、「G」が757万9000円で、すでに9000台を突破と受注ペースも上々。
しかも内装に柔らかなナッパレザーを用いた「AUTECH(オーテック)」と「VIP」が受注の25%、つまり4台に1台を豪華バージョンが占めるとのことで、コアファンの「待っていました」感にも、合点がいく出来映えです。

