メガバンクの住宅ローン金利引き上げ 高収入の「パワーカップル」が負担でつぶれる可能性
8月31日に三菱UFJ銀行などが9月に適用する住宅ローンの変動金利を引き上げると発表した。日本銀行が6月に決めた政策金利引き上げを反映したものだ。日銀は9月中にも利上げするとの観測があり、更なる住宅ローン金利上昇も予感させる。
人気の高い東京23区のマンションは、ここ数年高値圏での売買が行われている。不動産経済研究所によると、2026年上半期の東京23区における新築分譲マンションの平均価格は1億4249万円。この価格は過去最高で、2001年と比較すると3倍にまで値上がりしたことになる。
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金利の上昇によって、返済額にどれほどの違いが出るか試算してみよう。1億円のマンションを頭金1000万円、35年ローン、ボーナス払いなし、金利1%の条件で購入し、これまでに24回の支払いが済んだと仮定する。
住宅ローンの金利が2%に上昇し、残り33年間の返済額を再計算すると、月々の返済額は約29万6000円となる。金利1%が続いた場合の約25万4000円と比較して、月々約4万2000円、年間約50万円の負担増だ。35年間の総返済額は約1億2318万円で、金利1%の場合との差は約1648万円になる。
上記のシミュレーションは金利変更時に返済額を再計算したものにすぎず、実際の変動型住宅ローンでは、「5年ルール」などで月額返済額の上昇時期が後ろ倒しになる商品もある。しかし、返済額がすぐに変わらなくとも、金利の上昇によって利息の割合が増え、元金の減りが遅くなるため、注意が必要だ。
「返済が大変だから売却」に暗雲
注意したいのは、中長期的に政策金利が上がるという懸念があることだ。人口減少や人手不足、エネルギー高による原材料の輸入コストの上昇、円安などの要因により、構造的な物価高は進行する可能性があるためだ。
住宅ローンを借りている人は、「少し待っていればそのうち金利は下がるだろう」と楽観視しているかもしれない。しかし、将来的には逆にもっと上がる可能性があるのだ。
23区のマンション価格高騰を支えてきた購入層の一つが、夫婦・パートナー双方が高収入を得ている「パワーカップル」だ。パワーカップルは働きやすい立地などを求め、交通利便性の高い都心部のマンションへと目を向けた。二人組の高い購買力が、高額マンションの需要を下支えしてきた側面もある。
二人が変わらず仕事を続けられれば、ローンの返済は滞りなく続けられるだろう。しかし、現実は厳しい。購入後は育児や親の介護などにより、仕事と生活の両立が難しくなりがちだ。女性の正規雇用率が出産・育児期から低下する「L字カーブ」と呼ばれる現象も、解消されていない。
「超低金利」の時代が終わりつつあった2024年ごろにタワーマンションを購入し、子どもができたカップルなどは、現在育児の真っ最中だろう。そんな中、金利上昇が家族を直撃し、月々の返済負担が高まれば、生活の金銭的な余裕も失われる。
返済が難しくなったらマンションを売却すればよい、というわけでもない。足元では高価格帯の中古マンションで在庫の積み上がりや販売期間の長期化がみられ、以前の市場のように高値でも即売れるとは限らない。
住宅ローンを限界近くまで借りた場合、金利上昇は毎月の返済額だけでなく、将来の住み替えや売却という選択肢にも影響を及ぼす可能性がある。
文/不破聡 内外タイムス

