「子供返り」して少女に戻った84歳の認知症義母…!フリフリの服で公園へ行き幼児に混じって遊ぶ義母を、葛藤しつつも尊重する「長男の嫁」の献身

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認知症の人のなかには、脳の機能低下に伴うさまざまな不安によって、過去の記憶への回帰現象として「子ども返り」する人がいるとされる。筆者は今回、「子ども返り」をした女性と、その家族のケースを取材した。

群馬県の有名な温泉地の近くに、上田ミネさん(仮名)という84歳の女性が暮らしている。彼女が認知症を発症したのは、5年ほど前。親子4代、総勢8人が暮らすにぎやかな環境で、家族とともに生活を送っていたなかで、ミネさんはある時から、可愛らしいぬいぐるみや子供向けの洋服に興味を示すようになる。

前編記事『幼児番組を観て踊り、長男の嫁に抱っこをせがむ…!認知症になり”少女に戻った”84歳の義母、家族が明かす「子ども返りのきっかけ」』より続く。

ひ孫とおやつの取りっこをする義母

ミネさんの長男の妻である美代子さん(仮名・53歳)が言う。

「義母の精神年齢は小学校低学年くらいだと思います。もともと好きだったテレビドラマやワイドショーには見向きもせず、子ども向けの番組を観て、一緒に歌ったり踊ったりしています。オバケや猛獣などをテレビで観たりすると、怖がって私にしがみつくんですよ。

嗜好も変わりましたね。以前は好きだったお酒やタバコを匂いだけで嫌がるようになり、代わりに、ジュースやプリンといった食べ物を好むようになりました」(以下、「」内は同)

ミネさんは幼稚園に通うひ孫とおやつの取りっこをしたり、中学生の孫に甘えたりすることもあるそうだ。

美代子さんが困っているのは、ミネさんの外出の時だという。

「義母はお散歩や公園が大好きなので、私がよく連れて行くのですが、その時も服装は変わりません。すれ違った人たちには一様に驚かれますね。ブランコに乗ったり、砂場で遊んだりすると、その場にいた子ども達が逃げ出してしまい、保護者から困った顔をされることもあります」

「すみません、義母は認知症で……」と頭を下げると、周囲は理解を示してくれるが、同情と好奇が入り交ざった視線が美代子さんにはつらかった。

「近所中で義母のことが噂になっていると聞いて、外出を控えようとしたこともありました。でも、義母は外に行きたがり、それこそ、小さな子どもみたいに手足をバタバタさせてゴネるんです。ご飯やおやつも拒否して、身体を丸くして泣いている姿を見ると、可哀想になっちゃって……」

義母のために積極的に行動

ミネさんは「子ども返り」するようになってから、おむつを着ける必要がなくなり、言動も行動も活発になっていった。

「本当に不思議なんですが、施設から戻って来た時は気力がない様子だった義母が、元気な子どもに変化していったんです。ちょっとお転婆な感じで、表情も無邪気で本当に可愛いんです」

美代子さんは、ミネさんの意思を尊重し、今でもなるべく外に連れ出すようにしているという。

「公園で周りに迷惑をかけそうだったらすぐに移動するとか、お店の中や人が多いところでは騒がないように言い聞かせるとか、気は使っています」

美代子さんは、遠巻きに視線を送って来る人たちにも積極的に挨拶をし、近所のママ友グループとも交流を持った。

「とにかく義母に向けられる目が少しでも温かいものになればいいな、と思って行動しました」

義父(ミネさんの夫・82歳)は、そんな美代子さんの考えや行動を支持してくれたそうだが、ミネさんの長男である美代子さんの夫は否定的だったという。

「何とかしてやめさせることはできないのか?」

そう言ってくる夫に対し、美代子さんが、

「じゃあ、前みたいにボーッとしてるお義母さんのほうがいい?」

と答えると、夫は黙り込んでしまう。

「ひ孫が増えたと思えばいいさ」

「子どもたちは、『おばあちゃんが喜んでるならいいと思う!』と言ってくれています。でも、子どもは子どもなりに悩んでいたと思います。友達にからかわれたりしたこともあったようですしね」

さまざまな葛藤を経て、今では家族全員がミネさんを心から受け入れるようになった。

「私たちが当たり前のように振舞っているのを見て、周りも理解を示してくれるようになりました。義父も『ひ孫が増えたと思えばいいさ』と義母のことをいつも見守ってくれています」

温かい家族に見守られながら、日々の生活を送るミネさん。きっとこれからも、健やかな老後を送ることだろう。

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