球界屈指のスピードスター・周東佑京が語る『ハイキュー!!』愛 「推しは孤爪研磨。でも、自分に一番近いキャラは...」
不定期連載『みんなマンガで強くなった』 周東佑京(前編)
球界屈指のスピードスターとしてグラウンドを駆け回る、福岡ソフトバンクホークスの周東佑京。じつは大のマンガ好きで、子どもの頃からさまざまな作品に親しんできたという。なかでもお気に入りのひとつが、バレーボールマンガの金字塔『ハイキュー!!』だ。野球とは異なる競技を描いた作品のどこに惹かれ、登場人物たちの姿に何を感じてきたのか。さらに、プロ野球選手だからこそ共感する勝負への向き合い方とは──。漫画を愛する周東が、『ハイキュー!!』の魅力をアスリートならではの視点で語った。

『ハイキュー!!』のなかでのお気に入りのキャラは孤爪研磨と語る周東佑京 photo by Ryoji Hanjo
── 周東選手はかなりのマンガ好きと伺っています。
周東 そうですね。子どもの頃から、いろんなジャンルのマンガを読んできました。もともと親父がマンガ好きで、実家にたくさん置いてありました。当時の新しい作品もあれば、けっこう昔の漫画もあって、『頭文字D』とか『風の大地』とか読んでいましたね。野球マンガもかなり通ってきましたよ。『キャプテン』や『名門!第三野球部』は好きでしたね。
── プロ野球選手になった今も、マンガはよく読みますか?
周東 今もいろいろ読んでいますよ。最近は雑誌やコミックスを買うより、基本的にはスマホで読んでいます。あ、でも『キングダム』だけは買っています。
── どんなタイミングで読むことが多いですか?
周東 移動中ですね。あとは遠征先だと、ナイターが終わったあと、ホテルの部屋でヒマなので、マンガを読んで寝るのがお決まりです。
── ホークスのチーム内にもマンガ好きは多いですか?
周東 マキさん(牧原大成)がマンガ雑誌を持ってきて、ロッカールームでギータさん(柳田悠岐)とシェアして読んでいます。
── 千賀滉大投手(メッツ)がホークスにいた頃、「ロッカー横の風呂場にあるサウナにマンガを持ち込んで、ふにゃふにゃにするのが許せない」と聞いたことがあります。
周東 あっ、そのマンガは、今もふにゃふにゃのままありますね(笑)。
【熱いキャラよりクール系が好き】── 数ある作品のなかでも、『ハイキュー!!』が愛読書だとか?
周東 やっぱりスポーツ系のマンガやアニメがめちゃくちゃ好きなんです。『ハイキュー!!』はアニメから入りました。それで、「あ、マンガも読もう」みたいになって。バレーボールって、やっぱり身体の大きさが武器になるスポーツじゃないですか。背が高ければ高いほど有利というか......。なのに、主人公の日向翔陽は小さな身体で頑張っている。大きな相手にも負けないという気持ちを常に持ってプレーしている。その姿がなんかいいなと思ったのが最初ですね。
── お気に入りの登場人物は?
周東 孤爪研磨ですね。サバサバした感じが好きなんです。影山飛雄もいいですけどね。あのプライドが高い感じが。日向翔陽みたいな熱いキャラより、クール系が好きなんです。ああいうクール系って、一度どん底に落ちたりするじゃないですか。そこからはい上がっていくのがいいんですよ。
── 研磨はマイペースで、おとなしい性格です。ファンからすると、周東選手自身は研磨より翔陽に近いと思われている気もします。
周東 でも、僕もじつはものすごく人見知りで、頑張ってしゃべっていますからね(笑)。研磨も普段はあんな感じだけど、試合に入ると自分の色を出すじゃないですか。そこがいいなと思うんです。試合ではスイッチを入れて、自分をどんどん出していく。
── やはりアスリート目線で見てしまうところもありますか?
周東 それはありますね。
【研磨みたいな選手はプロ野球界にいない】── では、『ハイキュー!!』の登場人物で、自分に一番近いと思うのは?
周東 田中龍之介ですかね。オラオラ系で、ちょっと口が悪い感じが(笑)。ガンガン突き進む感じだし。それに研磨とは違いますけど、田中もめちゃくちゃ自分を出すじゃないですか。
── 逆に、研磨のようなプロ野球選手は身近にいますか?
周東 あのキャラはいないかなあ。あんなにしゃべらない人は、プロ野球界にはいないと思いますね。

ハイキュー!!の登場人物で自分に一番近いキャラは田中龍之介と語る周東佑京 photo by Ryoji Hanjo
── 翔陽タイプなら?
周東 そっちはいっぱい......。いや、でも翔陽くらいぶっ飛んでいて、常に明るい選手もいないんじゃないですか。
── 仲のいい栗原陵矢選手とか?
周東 クリは違いますね。彼はけっこう落ち込みますからね。調子がいい時はいいけど、落ちる時は地の底まで落ちる。心配になるくらい落ちちゃう。最近は減りましたけど......。波が激しいから、東峰旭かな(笑)。
周東佑京(しゅうとう・うきょう)/1996年2月10日、群馬県出身。東京農大二高から東京農業大北海道オホーツクを経て、2017年育成ドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団。19年に支配下登録され、俊足を武器に一軍に定着した。20年に50盗塁を記録して初の盗塁王を獲得。23年から25年にも3年連続で盗塁王に輝くなど、球界を代表するスピードスターとして活躍。23年のWBCでは日本代表に選出され、準決勝のメキシコ戦で代走から劇的なサヨナラのホームを踏むなど、世界一に貢献した。24、25年にはベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を2年連続で受賞。
田尻耕太郎●文 text by Kotaro Tajiri
