「オイに逆らうなばい」は本当? SNSで盛り上がる「さす九」 宮崎出身の筆者が見た男尊女卑の光景

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みなさんは、「さす九」というワードをご存じだろうか。SNSで定期的に話題になる言葉なんだけど、「さすが九州」を略したもので、九州各県の男尊女卑の風潮をあざ笑うスラングである。

普通に考えて明確な地方差別なんだけど、まあ、九州出身の僕としてはこういうのって昔からあるよねって感じで、そこまで深刻視していない。

みんな以前は群馬をバカにしてたし、さいたまをダサいと言って笑ってたでしょう、誇張したネタ画像とかとセットで。それと同じことを今度はジェンダー云々の大義名分を立てて、これまでとはまた別の地方でやっているだけなんだよね。(文:松本ミゾレ)

明らかに不自然なネタでも盛り上がる「さす九」ムーブメント

こういう話ってだんだん尾ひれがついて訳の分からない展開になるんだよね。こないだもあるアカウントが、「さす九」トレンドに乗っかる形でXに「福岡のテーマパークで中学生の男の子が『オイに逆らうなばい』と女の子に言い放っていた」という趣旨の話が拡散されていた。

あの、普通に考えてこういうインプレッション稼ぎの典型のような投稿なんだけど、「オイに逆らうなばい」もどこの言葉なんだろう。いかにも九州に詳しくない人が創作した感がプンプンする。

この話は方言の不自然さや、出てきたテーマパークが既に閉園していたため、時系列の矛盾を指摘する声も多かった。でも、こんなのコミュニティノートでいくら指摘しても、一度爆発的に拡散された嘘って修正されることがないのが今のSNSだよね。きっとよく九州を知らん人の中には、信じちゃった人もいるんだろうな。

「博多の天神」みたいな書き出しで「さす九」エピソード語るアカウントとかもあったし。博多と天神は別ね。ネットには自分の信じたい情報しか信じない純粋な人が多いから。

ま、これに限らず「さす九」ネタはちょっとググればいくらでも面白いものが出てくる。中には「さす九」ネタを拡散して、この異常な地域の異常なジェンダー観を改善させたい。そういう感覚の人もいるんじゃないだろうか。

しかし、これは僕が九州出身の人間なので盛らずに書いちゃうが、全部の「さす九」が嘘エピソードということもない。中には「あ、これはマジの体験談だな」と思える話もいくつかある。自分の見聞きしたことを書いてみたい。

男は宴会、女は台所で料理 宮崎出身の筆者が見た光景

僕は84年生まれで、子供の頃は本家の集まりにもよく連れて行かれていた。そこで正月やお盆なんかになると、大勢がやってきては宴会をするのだ。この宴会、思い返せば広間には男性ばかりで、時折本家の婆さんが座ってたっけ。僕の曾祖母とかね。その他の女性は台所に籠っていたなぁ。

料理の支度、配膳なんかをするために広間に女性も出てくるが、それ以外の時間は炊事場にいて、そこで女性は女性で飲み食いしていたのを見た記憶がある。何度もそういうのを見たが、僕が高校に入る頃。1999年ぐらいかな。その辺りで本家に行くのが馬鹿らしくなって、それから宴会にも顔を出さなくなった。

で、現在はどうかというと、本家の方ももはやそういう宴会はやらなくなったようだ。

昔ほど親戚が集まることもなくなり、男が飲んでいる間、女性は配膳と炊事……というようなことはもう過去の話。

2000年代以降はカカア天下の夫婦も増えてきたし(そもそも昔から結構あったが)、男性が普通に台所で家族のために炊事をするなんてのは、北九州出身の僕の祖父ですらやっていたから、九州にも昔から“染まらない男”はいたんだと思う。

そういう男はあんまり大きな宴会とかに顔を出さないから、あまり話題にならないだけで。

……でもうちの祖父は祖父で問題の多い人格だったけど。

あと、酒乱がやけに多いかな、宮崎は。本当に飲みの席での喧嘩はよく見たなぁ。新宿とか千葉市とかでしょっちゅう飲むけど、関東の人はみんな酒の飲み方がだいぶ大人しいね。品がある。あんたら立派なシティボーイだよ。

ただここまで書いたことは僕の地元の宮崎の話なので、他の県は知らないよ。今もそういうのがあるって地域も残っているかもしれない。

つまるところ「さす九」と揶揄されても仕方がないような風潮が、少なくとも昔はあったのは、これは事実。実際見てるからね。

あと、他に言えば彼女や奥さんの扱いが雑だとか、酷いDVをする奴というのは僕の同世代にもいたから、それも男尊女卑、「さす九」って無理矢理定義することも出来るかも。

でもDVは他の地域でもあるから、別に九州だけの悪習じゃない。ともあれDVって最悪だよね。早く無くなればいいのにね。