リール移籍がほぼ決まった直後、上田(左)と渡辺(右)は互いのユニホームを交換。惜別のセレモニーとなった。(C)Pro Shots/AFLO

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 昨季のオランダリーグ得点王、上田綺世がリールに移籍した。その後継者としてイグナシオ・フェリ(21歳)、シャキール・ファン・ペルシ(19歳)の若手ふたりを育てながら今季に挑む覚悟を、フェイエノールトは決めた。

 9月5日のNECナイメーヘン戦直前には、ハジ・ムサが遠征メンバーから外れたことが公になった。アル・イティハド(サウジアラビア)からのビッグオファーをフェイエノールトが断ったことに、心ここにあらずの状況に陥り、試合当日、朝と昼の集合時間に2度遅れた右ウインガーを、ファン・ブロンクホルスト監督は招集外にしたのだ。

 それでもフェイエノールトは昨季3位の難敵に3対1で勝利した。安堵の表情でCB渡辺剛は語った。

「チームとしてもちょっといろいろありましたけど、とりあえず勝ててよかったです。綺世がいなくなり、ハジ・ムサが試合に出なかったことで、(MFバレンテが左ウイングを務めたことも含め)前線が3枚変わったこの難しいチーム状況で、できる限りのことをやれているという感じがします」

 今季ここまで、フェイエノールトは試合の序盤・中盤は好ゲームを披露するものの、終盤に崩れ続けてきた。しかし、今回のNEC戦では61分、64分の連続ゴールで3対1にすると、その後は守備を固めてしっかり守り切った。

「2点差つけて勝ってる状態だったら、押し込まれる展開もある。最近の試合はそこで我慢しきれず失点というのが多かったですけど、今日はうまくチーム全体で我慢できました」

 前節、ホームのゴー・アヘッド・イーグルス戦(2-2)が終わると、渡辺と上田がユニホームを交換したうえ、観客席の求めに応じたふたりが晴れやかな表情で写真撮影に応じていた。しかもユニホームを後ろ前に着直して渡辺が「9 AYASE」、上田が「4 WATANABE」と見せるサービスショット付きだ。2点のリードを守りきれず、引き分けに終わった直後とは思えぬふたりの姿に、スタジアムにいた者は“綺世の別れ”を感じていた。
 
 このときの心情を渡辺が明かしてくれた。

「綺世が移籍したいという話は聞いてました。彼には残ってほしい気持ちがありましたけど、僕自身も『綺世は次のステップを踏むタイミングだな』と思ってました。(リールへの移籍は)たぶん、試合前日に話が動いて、試合前にはほぼほぼ合意したという話も聞いてましたので、綺世も僕も『これがラストゲームだ』と思いながら試合をしてました。

 他の選手は(上田のリール移籍が内定したことを)まったく知らなかったし、たぶん、スタッフ陣も知らなかったと思います。だから試合が2対2で終わった状況でユニホームを交換するのはどうかなと思ったんですが、綺世から言ってきてくれたんです。彼自身、やれることをすべてやってから去って行ったので、本当に素晴らしい選手としてフェイエノールトを離れて行ったと思います」