商品の「価値」は実体がない幽霊のようなもの?売買を経て社会に認められるプロセス

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「価値」の正体はよくわからない!?

価値は売買で姿を見せる

 1枚のTシャツを手に取ると、色や形、素材、サイズ、縫い目はすぐにわかります。手で触れれば、生地の厚さや肌ざわりも感じられるでしょう。けれども、そこに「価値」というものが目に見える形で存在しているわけではありません。

 それなのに、そのTシャツに3000円の値札がつくと、私たちは急に「3000円の商品」として見ます。さらに誰かが3000円を払って買えば、そのTシャツは社会の中で「3000円分の価値があるもの」として扱われます。

 ここに、商品の価値の不思議さがあります。価値は、あるようで直接は見ることができません。まるで商品に取りついている幽霊のようにふだんは姿を隠しています。しかし市場に出され、値段がつき、誰かに買われた瞬間、その存在が現実のものになります。重要なのは他人に買われることで、他人に買われてはじめて、その価値は社会の中で実現します。

 資本主義社会では、この見えにくい価値を実現することがとても重要になります。商品を作るだけでは終わりません。それを売り、お金として回収し、さらに次の商品作りへつなげていく必要があります。資本主義とは、モノを作る社会であると同時に、商品に宿った見えない価値を売買によって現実のものにし、それをさらに増やしていこうとする社会でもあるのです。

「価値」はふだん見えない?

色や形は見えても、その商品の「価値」そのものは目で見ることができない。
価格設定で適正かどうか判断され、誰かに買われることではじめて価値のあるものとなる。

価値は見えない

目に見えるものは価値を測るための材料として扱われる。しかし、あくまで判断基準であり、絶対ではない。

売買で価値が決まる

誰かに買われることで、その商品は社会の中で「3000円分の価値があるもの」として扱われる。

【価値はモノに張りついた幽霊のよう】

価値は、あると周りから信じられているものの、実体が見えない幽霊みたいなもの。

資本主義は、「価値あるもの」を増やしていく

資本主義では、商品を作り、価格をつけ、売り、社会の中に流通させることで、「価値あるもの」を広げていくことが目指される。

①商品を作る【モノが作られる】

この段階では、ただ作られただけの商品にすぎない。

②価格をつける【社会の中で交換できる形にする】

「3000円」として、交換の対象にできるようにする。

③売る【社会の中で流通する】

売る・買うが起こり、商品は社会の中をめぐっていく

④価値が増えていく【価値あるものとして広がっていく】

より多くの商品が作られ、売られ、社会の中で「価値あるもの」が増える。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)
政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。