「コントレイル産駒が走らないわけない」矢作芳人調教師が語る「走る産駒」のはっきりした特徴…「今年は絶対巻き返せる」福永祐一調教師とも意見が一致

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「今年は絶対に巻き返せる」

正直言って、そろそろ焦ってきている。年内での引退を予定しているフォーエバーヤングの後継馬についてである。

'19年にリスグラシューが有馬記念を勝った翌週には、後の三冠馬コントレイルがGIのホープフルステークスを勝っていた。そして、コントレイルが引退した2年後の'23年にはフォーエバーヤングがデビューしている。それ以外にも、リアルスティール、モズアスコット、ラヴズオンリーユーと、ここ10年、常に国内外のGIタイトルを手にした馬たちがいた。しかし、いまの古馬勢にはそこまで勢いのある馬は出てきていない。

そういう意味でも、これからデビューする2歳馬に期待するところは大きい。無敗で引退した米国のダート王フライトラインをはじめ、21世紀最強馬とも言われるフランケル、'22年欧州年度代表馬のバーイードなど期待の産駒たちが揃っているが、やはり主力となるのはコントレイル産駒だろう。

今年7月に行われたセレクトセールでは、コントレイル産駒の平均落札価格は約6900万円と、昨年の約1億4200万円からかなり評価を下げた。でも、その値段で買えるなら逆にコントレイル産駒は狙い目だと思う。僕らから見てあれだけ馬がいいのに走らないわけがない。先日、(福永)祐一(調教師)と話をしたときも、「今年は絶対に巻き返せる」と二人の意見は一致した。

世間の評価が下がったからこそ

コントレイル産駒の初年度の傾向を見てはっきりしていることが二つある。一つはちょっと馬体がゆるくて、成長が遅めだということ。もう一つは、大型馬が走るということだ。牧場では、それを踏まえて繁殖牝馬を選んでいるし、我々も早い時期にはデビューさせず、ゆっくり育てようと考えている。今年、コントレイル産駒の2歳馬は10頭以上いるが、まだ1頭しかデビューさせていない。

そもそも10~11月くらいから攻勢をかけるのがウチのスタイルだ。もし9月にデビューさせるとなると、8月には調教の最盛期を迎えなくてはいけない。いまの日本の暑さを考えると、酷暑のなかで激しいトレーニングをすることは馬の成長を阻害する要因になる。最近は早期デビューの傾向が強まってきており、時代に逆行しているとも言えるが、僕はこのスタイルを貫き通すつもりだ。

世間の評価が下がったからこそ、種牡馬としてのコントレイルを見直させてやるという意地もある。秋以降のコントレイル産駒の活躍にぜひ注目してほしい。

日本馬の目覚ましい海外進出

フォーエバーヤングはブリーダーズカップ(BC)クラシック連覇に挑む。米国の競馬の祭典であるブリーダーズカップは、2日間にわたって、芝、ダート、年齢、性別、距離に応じて、さまざまなカテゴリーのGIレースが行われる。BCクラシックはそのクライマックスとなる世界のダート王決定戦だ。

ブリーダーズカップは、日本のGIレースと違い、米国内の主要競馬場の持ち回りで行われており、今年はケンタッキー州のキーンランド競馬場で開催される。3歳時に同じケンタッキー州にあるチャーチルダウンズ競馬場で行われたケンタッキーダービーに出走したときは3着に終わっているが、あのときはシカゴからの長距離の陸送によって疲れ切ってしまったことが敗因だった。その点、今回は日本から直行便で前哨戦の行われるニューヨークに入り、ケンタッキーへも直行便で行く予定なので、疲労の心配はない。準備は万全である。

この秋、海外のレースに挑む日本の馬はフォーエバーヤングだけではない。宝塚記念を連覇した勢いで凱旋門賞に挑むメイショウタバル、今年5月に米国でチャーチルダウンズS(GI)を勝ち、BCスプリントに挑むテーオーエルビスなど、多くの日本馬の参戦が予定されている。また国内に目を移せば、昨年久々に外国馬のカランダガンがジャパンカップ(JC)を制したことで、今年のJCにも海外の強豪がやってくる可能性が高い。

これまで世界の競馬地図の端にあった日本が、いよいよ世界の競馬地図の中心になってきた。僕はそう思っている。

「週刊現代」2026年9月14日号より

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矢作芳人(やはぎ・よしと)/調教師。'61年東京都生まれ、開成高校卒。'05年に厩舎を開業し、無敗の三冠馬コントレイルや年度代表馬のフォーエバーヤングなど名馬を多数輩出。海外遠征で多くの実績を残していることから「世界のYAHAGI」と呼ばれる

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