江本孟紀が阪神・森下の“16死球”に持論「よけるのが下手」「投手がかわいそう」燕・山田には「あれで年俸5億はおかしい」

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いよいよペナントレースも大詰め! 熾烈な順位争いが繰り広げられるなか、野球ファンの耳目を集めたのがデッドボール問題。今月の「エモやんの月刊野球放談」では、そのデッドボールについて持論を展開します。〈前後編の前編〉

【画像】デッドボールについて持論を語る江本孟紀氏

「森下は死球をよけるのが下手」

――8月28~30日、1.5ゲーム差で迎えた首位阪神、2位巨人の甲子園3連戦。天王山ともいえる大一番でしたが、結果は阪神が3タテ。これはさすがに決まりでしょうか?

江本孟紀(以下、同) ほぼ決まりだけど、阪神からするとこの勝負の3連戦で期待以上の結果になったことで気の緩みが出て……ってこともなくはない。2勝1敗のほうがまだテンションを維持できた。

巨人は阪神以外にはすべて勝ち越していて(※)、阪神とは残り2試合しか残ってないから、巨人からすればそれがかすかな望みかな。

(※対阪神は7勝16敗も、その他4球団には47勝33敗。9月3日時点、以下同)

――この大事な3連戦で、巨人はハワード、田中将大、小笠原慎之介が先発というのが気になりました。

こういうときに経験のある監督がやってれば、こんなローテーションは組まないと思う。そこが代行監督の弱いところ。橋上(秀樹)がどうこうじゃなくてね。

――首位攻防のトピックといえば、森下翔太選手、佐藤輝明選手への連日のデッドボール。とくに森下選手の死球時は、球場のファン同士で乱闘が起こるなど騒然としました。

ただコントロールの悪いピッチャーと、よけるのが下手なバッターがそこにいただけ。意図的に当てたということはまったくないんだけどね。

――森下選手の死球数は両リーグ1位の16。よけるのはあまりうまくない?

そうだね。よけるのは先天的にうまいやつと下手なやつがいる。反射神経ってわけじゃなくて、インコースにきそうなカウントで踏みこんじゃったりすると当たってしまう。森下なんて平気で突っ込んでくるから、それが原因だろうな。

俺の時代だと田淵(幸一)さんが下手だった。逆に落合(博満)はよけるのがうまかった。オープンスタンスで構えてるのは、インコースの危ないボールに対応するためでもあるんだよ。それでいてアウトコースに逃げる球がきたらポーンとライトへホームランを打つ。これも技術だな。

「死球にペナルティなんていらない」

―― 一部のファンからは「デッドボールは打者の選手生命にかかわることなのに、それでペナルティが四球ひとつと変わらないのはおかしい」なんて声が上がってます。

いや、それは逆。テイクワンベースは罰が重すぎる。

――え! そうですか……?

あんなに大きいバッターボックスのどこに立ってもいいのに、キャッチャーが少し内側に構えただけで当たるようなところに立ってるほうが悪いだろ。だったらピッチャーライナーはいいのか。デッドボールは打者がよけたのに当たってしまって初めて成立するんだから、ピッチャーからすれば、よけきれないところに立つんじゃないよと。

なぜ投手がわざわざバッターが打ちやすいところに投げなきゃいけないの。恐怖心を与えるのも投球術のひとつなんだからインコースのきついところに投げるのは当然のこと。

なのに、バッターが踏み込んでテイクワンベースなんて、投手にとって一大事。それで出塁できるなんて、みんな簡単に考えすぎとる。本当はペナルティなんてなしで、ただのボールカウントひとつ分でいいんだ。

――首位争いから脱落したヤクルトの話ですと、現役最年長46歳の石川雅規投手が8月27日の巨人戦に今季初登板。しかし、1アウトしか取れずに6失点KO。その後引退を発表しました。

石川はいくらピッチングがうまいといってもストレートはもはや平均120キロ台で、2軍でも結果を残せてなかった。この状態で投げさせたベンチが無責任すぎる。

人情とか話題性に流されたのかもわからんが、カズ(三浦知良)みたいに身の程をわきまえてJ3とかで出てるならいいけど、プロの世界は相手を抑えられるって確信がないと投げさせちゃダメ。

――しかし、石川投手の188勝という実績は立派。

それは声を大にして言うべきだね。身長も低い、ストレートは遅くても大男たちを抑えていく。これが野球なの。

筋トレでムキムキになって155キロとか投げるピッチャーが石川の勝ち星を越せるかって言ったら越せないでしょ。100勝どころか50勝もできずに辞めていく。プロってのは長く結果を残してナンボなんだから。

「俺の時代は16勝しても年俸360万円!」

――同じくヤクルトでは山田哲人選手がようやく復帰。8月29日には第1号ホームランを放ちました。

それで推定約5億ももらってるなんておかしいでしょ。これも複数年契約の弊害(山田は20年オフに7年総額35億円で契約更改)。これじゃ選手がダメになる。なぜ球団がそんなに払えるのかって言ったら、今はどこの球場もファンが押し掛けて球団はお金があるから。

俺の南海時代(72~75年)なんて客席はガラガラ。2年目でせっかく16勝したって年俸は160万円から360万円に上がっただけだったし、当たり前に単年契約。契約更改の時なんて、ふんぞり返ってたばこを吸ってるベテラン記者から「これをあと3年続けたら質問してやるよ」なんて言われたもんだよ。今なら殴ってるな(笑)。それで2ケタ勝てなくなれば、すぐにクビやトレードに出される。そんな時代だった。

今はろくに働かない選手でも何億ももらえるんだから、ファンさまさま。その金を解説者にも回せよってね(笑)。

――パリーグも阪神同様、ソフトバンクでほぼ決まりという状況。そのなかで21歳の前田悠伍投手が開幕11連勝を達成。またすごい選手が出てきました。

前田はコントロールもいいし、持って生まれたピッチングの勘の良さもある。和田(毅)っぽいピッチャーだな。

ただ、俺と同学年の堀内(恒夫)は開幕13連勝を高卒1年目でやってるからね。しかもその大半が完投勝利。前田はまだ完投が1回もない。

結局、60年前の記録にかなわない。野球のレベルは上がってないってことだな。

――後編では高校野球など、球界全体のお話をお伺いします!

(後編に続く)

取材・文/武松佑季