3日の第2戦でホスト国・カンボジアに8-0で勝利し、AFC U20アジアカップ予選突破に王手をかけた。2連勝を飾り、得失点差も+12。6日に行われるイエメンとの最終戦を引き分け以上で終われば、1位抜けが決まる情勢となった。

 危なげなく勝利を積み重ねてきたU-19日本代表は、カンボジア戦から一夜明けた4日の午前中にトレーニングを実施。前日の試合に出場した選手や疲労度が高い選手はレクリエーション系のメニューで軽めに調整し、残る選手たちはパスゲームなどで汗を流した。

 表情は明るく、雰囲気も良い。国内合宿で見られたような静かな感じもなく、前向きな声も出るようになってきた。そうした状況下で自信を深めた選手がいる。右WBのDF木寺優直(大宮)だ。

 昨季までは日の丸を背負った経験がなかったものの、J2・J3百年構想リーグで台頭。今年5月3日の福島戦でデビューすると、翌月のモーリスレベロトーナメントでU-19日本代表に初招集された。一気に評価を高め、今回のアジアカップ予選でもメンバー入り。クウェートとの初戦は出場機会がなかったものの、カンボジア戦で初出場を飾った。

 後半15分から3-5-2の右ウイングバックに投入されると、積極的な仕掛けやクロスで存在感を発揮。前日の練習からやや硬さを見せていたが、気持ちを整理して臨んだ試合では「緊張がそこまでなかった」(木寺)。

 相手にビビらず、時間の経過とともに良さを発揮。後半23分にはニック・シュミット(ザンクト・パウリ)が前方のFWマギージェラニー蓮(大宮)にラストパスを送る。PA内で2人がかりのマークにあってマギーが潰されたが、こぼれ球に木寺が反応してチームの3点目を奪った。

「マギーがあそこまで入って、多分ボールがこっちに来るだろうと思っていた。今までの自分であればそこにはいなかったかもしれない。でも、ウイングバックというポジションなのでクロスにどんどん入っていく意識があった。それで入っていったら、転がってきてくれたので本当に信じて走って良かったです」

 感情を爆発させ、ピッチサイドにいた控えメンバーも交えて喜びを表現した木寺。それほどゴールへの思いは強かったようだ。本人は最後に決めたのは小学校の頃だったと振り返ったが、記録上は2025年のJユースカップでも得点。それでも「本当に久々だった」(木寺)という感覚になるほど、ゴールからは長く遠ざかっていた。小学校時代は守備的なポジションを務め、中学校に入ってからもCBやSBが本職。CKなどでも中に入る役割ではなく、カウンター対応のために後ろで構えていることが多く、得点機会そのものに恵まれてこなかった。

 デビュー戦で生まれた代表初ゴール。一生忘れられないものになっただけではなく、地道に積み上げていけば努力が実るということを示す活躍でもあった。

「メンタル面を下げてもメリットはない。それはチームでも言われてきた。チャンスが来た時にどうするかなので、常に準備をしてきた」

初戦は出場機会がなく、悔しさを抱えていた中で気持ちが切れても不思議ではない。それでも己を信じ、与えられた出番で活躍できたことは今後につながる。

 今予選も残り1試合。どんな形で起用されるか分からないが、MF木實快斗(札幌)が負傷離脱したため、出番が増える可能性は高い。深めた自信を確固たるものにすべく、大宮育ちのウイングバックは貪欲に次戦もゴールを狙っていく。

(取材・文 松尾祐希)