〈「性暴力ではない」が懲戒免職〉25年前に教え子と性行為した53歳都立高教師…なぜ今になって処分? 都教委「合意でも免職です」
東京23区内の都立高校に勤務する男性主任教師(53)が、2001年から2004年にかけ当時勤務していた高校の女子生徒と性行為をしたとして、東京都教育委員会は2日に同教師を懲戒免職処分とした。最も古くて25年前の出来事、それも都教委が「性暴力」とみなしていない行為での処分の根拠を都教委に聞いてみた。
【画像】「25年前でも処分の対象になるのか?」に対する都教委の回答
25年前に当時の教え子と性行為をしたとして都立高教師が懲戒免職に
都教委は2日、免職になった教師は2001年11月ごろから2004年3月ごろまでの間に、当時の勤務校の生徒と自宅で性行為を行なったと発表。「被害者が特定される可能性があることから、被害者の人権に配慮し、被処分者の氏名及び学校名を公表しない」としている。
このニュースが報じられると、ネットには、「性暴力犯罪の時効期間を超える25年という長い年月を経た末に処分ができるのか」との意見や、「25年前という時代なら教師と生徒が付き合う例はほかにもたくさんあったのではないか」といった声が書き込まれた。
四半世紀という時間が経過してからの処分について、都教委の担当者は、「公務員の懲戒処分については地方公務員法の規定に基づき判断しておりますが、地方公務員法上にいわゆる時効という考え方がありません」とし、どれほど昔の行為でも制度上処分は可能だと説明。
しかし、定年などですでに退職している元教員に対する被害申告があった場合には、「何もできないです。現職者であるから地方公務員法に基づく処分の対象になるのであって、現職者以外は対象にならない」という。
今回、女性が性行為について申し出たことで発覚したが、都教委は経緯の詳細は明らかにしていない。「(女性が)25年ぐらい前にあなたと性行為をしたと言ってるんですが、本当ですかと(男性教師に)聞いたところ、『そう、本当です』と答えたため、確認ができました」と担当者は確認の経緯を明かす。
都教委の調査開始後、男性教師は数か月にわたって休職し、「⾃分の⾏為で結果的に被害者を傷つけることになり、申し訳なく思っている」と話しているという。
都教委の担当者は、今回問題になったのは「性暴力ではなく、性行為をしたこと」と断ったうえで、「東京都の懲戒処分の基準では、合意の有無は関係なく、先生と生徒という関係で性行為をした場合は、相思相愛の合意であっても免職になります」と説明する。
この男性教師がほかの生徒とも同様の行為をしていたかどうかについては、本人は都教委の事情聴取に対して否定したという。「私たちは警察のように科学捜査をできるようなものではなく、本人(の聴取)以外にはやれることがありません」というのが都教委の立場だ。
「教師本人からの申し出だけで処分をするのは、刑事訴訟と同じで難しいです」
一方、今回問題になった期間よりさらに10年ほど前には、高校教師と生徒が恋愛するドラマが放送され、「生徒を相手に恋愛する教師なんかたくさんいるし、卒業を待って結婚する者だっている」と話す元教師もいる。
今回の処分対象以外にも同様の問題が起きていなかったか、過去にさかのぼって調査する考えはないのかとの質問に対して、都教委は「被害者からの申告もなく(教師)本人からの申し出だけで処分をするのは、刑事訴訟と同じで難しいです。自白だけでは有罪にできないのと同じで、(処分も)できないという考え方があり、それはする予定はございません」と回答。元生徒側が「被害」と捉えて申告しない限りは問題にできにくい仕組みのようだ。
一方、2022年4月には、教職員が合意の有無を問わず児童生徒との性行為を行なうことなどを禁じ、性暴力等の事実があると思われる場合には学校などへの通報を、犯罪の疑いがあると思われる場合には所轄警察署への速やかな通報を定めている「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されている。
恋愛感情の有無にかかわらず、教員が児童生徒と性行為をすることは許されないという法整備が進められた。
また、刑法には2023年7月の施行で、16歳未満の者にわいせつ目的で誘惑するなどして面会する行為を犯罪とする「面会要求罪」が新設された。子どもから信頼を得て性的目的を達成しようとする「性的グルーミング」と呼ばれる行為は犯罪であるとの認識がようやく社会の中で広がりはじめている。
今回、被害女性が申し出た経緯は分かっていない。しかし、教え子と性関係を持った教師はどれだけ時間が経とうと「教師失格」の烙印が押される――その事例が作られたことには間違いない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
