ICL手術は保険適用される?費用の相場や医療費控除についても詳しく解説
ICL手術を検討する際、高額な費用や公的保険が適用されるか疑問を抱くケースは少なくありません。
全額自己負担となる自由診療に該当しますが、医療費控除の制度を有効に活用すれば実質的な金銭負担を大幅に軽減できます。
本記事では、各眼科の基本相場をはじめ、保険適用の有無や減税措置の申請手順まで詳しく解説しています。
事前の金銭的な不安をすっきりと解消し、納得したうえで治療へ一歩を踏み出すために、本記事の情報をぜひ参考にしてください。
監修医師:
坂西 良仁(坂西眼科医院)
1965年に祖母が開院した眼科医院を2024年5月に継承し3代目院長に就任。院長就任前は、多数の硝子体手術を手掛ける順天堂大学医学部附属浦安病院にて、教育・研究・臨床に尽力。同病院の眼科手術部長として、主に網膜硝子体疾患の難症例に数多く向き合い、高度な医療技術の研鑽を重ねてきた。長年培った専門性と知見を生かし、現在も大学病院での医療や教育に携わりながら地域の方々に寄り添った眼科医療を提供している。
ICL手術にかかる費用の相場

ICL手術にかかる費用の相場を教えてください。
両眼の施術を受ける場合、必要となる費用の相場はおよそ450,000円(税込)から800,000円(税込)前後が目安です。
幅が生じる要因として、使用するレンズに乱視矯正機能が含まれているかどうかが挙げられます。
近視のみを矯正する製品に比べ、乱視用のレンズは製作に高度な技術が必要とされるため、片眼あたり50,000円(税込)から100,000円(税込)程度追加の費用がかさむケースも少なくありません。
度数が著しく強い場合や、遠視用の特殊なレンズを特注する状況では、追加の料金が発生する可能性があります。施設によっては、ICLとは別にIPCLと呼ばれる眼内レンズを使用することもあり、ICLより費用を抑えられる場合があります。一方、IPCLは長期経過の症例がICLより少ないため、特徴や実績について担当医に十分確認しましょう。
初期投資にはまとまった金額が必要ですが、消耗品を買い続けるコンタクトレンズの出費と長期的に比較すれば、利便性を伴う投資手段です。予算に余裕を持たせた事前準備をしておきましょう。
ICL手術前の精密検査にかかる費用の相場を教えてください。
手術を無事に行うためには、眼の状態を綿密に調べる適応検査や精密検査が欠かせません。該当する事前検査にかかる費用の相場は、およそ5,000~30,000円(税込)前後が目安です。
検査の目的は角膜の厚みや細胞数のほか、眼内の深さを精密に測定して、適切なレンズサイズを決定する点です。
一部のクリニックでは、最終的に施術に合意した状況に限り、事前検査の費用を全額割引する体制を整えている場合もあります。
仮に適応外と診断された場合でも、該当する検査費用のみの支払いで済むため、事前の確認が不安の解消に結びつきます。支払うタイミングや条件はクリニックの規定で個別に定められているため、事前にWebサイトなどで詳細を確かめておきましょう。
ICL手術後にかかる費用はありますか?
多くの眼科クリニックでは、施術費用のなかに手術当日から数ヶ月間の定期検診代や、提供される点眼薬の代金がすでに含まれています。したがって、規定の保証期間中に追加の支払いを求められる事態は原則としてありません。
しかし、指定された期間が満了した後の定期検診や、再び点眼薬が必要となった状況では通常の料金を自己負担する必要があります。
また、度数が合わなくなった場合のレンズ入れ替えに関しても、保証から外れた時期以降は別途高額な追加費用を要する危険性があるため、注意が必要です。
アフターフォローの詳細な内容や、保証が適用される詳しい期限については、あらかじめ書面を交わすタイミングで細部まで調べておきましょう。
ICL手術の費用は眼科によって違いがありますか?
ICL手術は、保険が使えない自由診療に位置づけられるため、国が一律の価格を定めていません。料金は、各眼科クリニックが独自に決定します。
日本全国の各地域の施術価格に大きな差が生じる背景には、以下に示す多様な要因が存在します。
クリニックの立地条件や建物の規模
在籍する眼科医の年数や口コミ
導入している検査設備や治療用具の充実度
提示された金額の安さだけを基準に決定するのではなく、提供されるサービスの充実度や信頼性を、総合的に考慮して選定するのがおすすめです。
手厚いアフターフォローや、長期間におよぶ保証制度の有無も十分に重視し、納得のいく施設を慎重に選定しましょう。
ICL手術は保険適用されるのか

ICL手術は公的保険が適用されますか?
ICL手術は厚生労働省が承認している医療技術ですが、公的な健康保険は適用されません。病気やケガの治療とは異なり、屈折矯正を目的とする自由診療だからです。
近視や乱視を矯正して裸眼での生活を便利にする施術は、保険給付の対象外となる自由診療に分類されます。
窓口で健康保険証を提示しても3割負担での受診はできず、検査代や施術代のすべてを全額自己負担しなければなりません。
レーシック治療と同様のルールであり、どの医療機関で手術を受けても一律で自由診療の扱いを受けます。
公的な補助が出ないため初期費用は高額に達するので、将来にわたってメガネや消耗品を購入し続ける維持費と比較して、自分にメリットがあるかを検討しましょう。
ICL手術は民間の医療保険や生命保険の給付対象になりますか?
民間の医療保険や生命保険に加入している場合、手術給付金の対象となるケースがあります。
ただし、給付の可否や金額は加入している保険会社やプラン、加入時期によって一律ではありません。特に、古い時期に加入していれば適用される可能性が残されていますが、近年のプランでは対象外に指定されている事例も少なくありません。
事前に以下のような方法で、自身が加入している生命保険や医療保険の書面を含め細かく確かめる必要があります。
保険会社の担当窓口へ適用されるか直接問い合わせる
正式な手術名である有水晶体眼内レンズ挿入術を伝える
オプション項目や給付金額の細かな制限を書面で調べる
事前の確認を怠ると、予定していた給付金を受け取れず資金計画が狂う原因となるため、綿密な下調べをしておきましょう。
ICL手術で医療費控除を受ける方法

医療費控除とはどのような制度ですか?
医療費控除とは、各自が支払った年間の医療費負担を軽減する目的で用意された、国の所得税および住民税に関する税制優遇制度です。1月1日から12月31日までの1年間に、ご自身や生計を同一にする家族が支払った医療費の総額が、一定基準を超えた状況で適用されます。
支払った税金の一部が手元に戻る還付を受けられるため、高額な治療を受けた場面で大きな手助けとなる制度です。
一般的には年間の自己負担額が100,000円(総所得200万円未満は所得の5%)、もしくは所得金額の5%を上回った場合に、超過分に基づき控除額が算出されます。
確定申告の手続きを済ませる必要があり、会社員の年末調整では申請が認められていないため、注意しなければなりません。
ICL手術は医療費控除の対象になりますか?
ICL手術は視力の低下を治療する目的で行われる施術なので、全額が医療費控除の対象として認められます。
レーシックと同様に、裸眼の視力を回復させて日常生活に支障がない状態へ導く治療は、医師が必要と認めた適正な医療行為に該当するのが特徴です。手術本体の代金だけでなく、適応検査や術後のお薬、さらには通院にかかった公共交通機関の交通費も申請の範囲に含められます。
ただし、自家用車で通院した際のガソリン代や高速料金、駐車場代は対象から除外されるため整理しておかなければなりません。
金銭的な負担を少しでも減らすためにも、支払った領収書や通院記録はすべて廃棄せず大切に保管し、申告の準備を整えておく備えがおすすめです。
ICL手術の医療費控除の手続きの流れを教えてください。
還付金を受け取るためには、施術を行った翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を済ませる必要があります。大まかな申請の準備と手順は、以下のとおりです。
1年間に支払った金額を証明する医療費の領収書をまとめる
国税庁のWebサイトで医療費控除の明細書を作成する
税務署に申告書を直接提出するかネットから送信を済ませる
以前は領収書の原本を直接提出する決まりでしたが、現在は明細書の作成のみで済む方式に簡略化されました。
ただし、税務署から提示を求められた際はいつでも提出できるように、原本を5年間は自宅で大切に保管しておく必要があります。書類を過不足なく揃え、期限内に手続きを完了させましょう。
ICL手術は高額療養費制度の対象になりますか?
ICL手術では、高額療養費制度を利用する手段は認められません。高額療養費制度は、公的医療保険が適用される保険診療の自己負担額が一定の上限を超えた場面に限り、超過分が払い戻される救済措置だからです。
全額が自己負担となる自由診療は、高額療養費制度の適用範囲から最初から除外されています。したがって、窓口で支払った高額な代金に対して、国からの補填金を受け取る措置は期待できません。
しかし、前述した医療費控除に関しては、自由診療であっても対象として認められる違いが存在します。
同じ医療費に関する制度であっても、各制度の性質や適用条件がまったく異なるため、混同しないように正しく理解しておく必要があります。
編集部まとめ

ICL手術は公的医療保険が使えない自由診療に位置づけられ、両眼にかかる費用の相場もおよそ450,000円(税込)から800,000円(税込)前後と高額に達します。
高額療養費制度の対象からも除外されますが、税制上の優遇措置である医療費控除は問題なく申請可能です。
確定申告の手続きを済ませれば所得税の還付や住民税の軽減に結びつき、金銭的な負担を大幅に和らげられます。
必要な領収書を大切に保管し、無理のない資金計画を立ててクリアな視界を手に入れる準備をしておきましょう。
参考文献
近視矯正手術のご案内|慶應義塾大学医学部 眼科学教室
医療費控除を受ける方へ|国税庁
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
手術について - ICL|日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
角膜屈折矯正班|北里大学病院眼科
高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

