65歳未満がなる「若年性アルツハイマー」の”5つの原因”はご存じですか?医師が解説!

若年性認知症はさまざまな病気が原因となります。アルツハイマー型や血管性など、主要な原因疾患とその特徴的な症状を解説します。

※この記事はメディカルドックにて『65歳未満がなる「若年性アルツハイマーの症状」はご存じですか?原因も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 規絵(医師)

旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

若年性アルツハイマーとは

若年性アルツハイマーとは若年性認知症の一つで、一般的な認知症とは異なり、65歳未満の若い世代で発症するものです。若年性アルツハイマーは、働き盛りの世代で発症することもあり、病気で働けなくなると家族の生活が苦しくなってしまう事例も少なくありません。
そのため、厚生労働省を中心に雇用継続や就労支援、若年性認知症コールセンターの設置などさまざまな施策が行われています。

若年性認知症の原因となる病気

若年性認知症の原因となる病気は、以下のとおりです。

・アルツハイマー型認知症

・血管性認知症

・レビー小体型認知症

・前頭側頭型認知症

・アルコール性認知症

原因となる疾患は、国の調査によると血管性認知症の割合が高く、前頭側頭型認知症はより若年層での発症割合が高くなっています。
ここでは、それぞれの病気の代表的な症状について解説します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、大脳の広い範囲の神経細胞に変化が起こることで発症し、次第に進行していく神経変性疾患の一つです。特に、脳内の情報伝達物質であるアセチルコリンを伝える経路が障害されます。
もの忘れから始まりものごとの手順や日付、時間、場所がわからなくなる、代名詞(あれ・それ)が増える、お金の計算ができなくなるなどの症状がみられます。

血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳卒中が原因で起こる認知症です。脳の損傷部位によって機能が保たれる部分と失われる部分が混在する、まだら認知症が特徴です。症状が突然現れることもあり、脳血管障害が繰り返されるためと考えられています。
脳血管障害の再発や糖尿病・高血圧などの予防、治療が必要です。スムーズな会話がむずかしくなる一方で、人格への影響は少ない傾向があります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳の中にレビー小体という異常なタンパク質がたまり、脳の神経細胞が徐々に減っていく疾患です。調子がよいときと悪いときを、繰り返しながら進行することが特徴です。
幻視や睡眠時の異常行動、身体をうまく動かせずに転びやすくなるパーキンソン症状などが現れます。薬剤に対する過敏性があるため、通常の服用量でも、症状の悪化や体調変化が起こることがあります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉などの脳の前方部分が萎縮して起こる認知症です。理性や感情をつかさどる前頭葉が萎縮するため、人格や行動に異変が現れ、以前は我慢できていた行動に対するブレーキがききづらくなります。
病気であるという自覚がなく、周囲に無関心になる、同じことを繰り返し行うなどが特徴的な症状です。

アルコール性認知症

アルコール性認知症は、慢性的な大量の飲酒による低栄養やビタミン欠乏などが原因だと考えられています。特にビタミンB1が不足すると、急性の脳障害であるウェルニッケ脳症を発症し、その後慢性的な後遺症であるコルサコフ症候群へ移行することがあります。
ウェルニッケ脳症は意識障害や眼球運動障害、コルサコフ症候群は記憶障害や作り話などが代表的な症状です。
アルコール性認知症の発症や悪化には、肝硬変や頭部外傷などの要素も関係していると考えられています。

若年性アルツハイマーの症状についてよくある質問

ここまで若年性アルツハイマーの原因となる病気や症状、検査・治療方法を紹介しました。ここでは「若年性アルツハイマーの症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

初期症状をセルフチェックする方法はありますか?

若年性アルツハイマーの初期症状は、もの忘れや失敗を取り繕って言い訳をするなどからはじまり、以下のような症状が現れます。

ものごとに無関心になる

目的地にたどり着けない

手順を忘れる

同じものを何度も買う

料理の味付けが変わる

おつりの計算ができない

以前と比べて変化がみられ、日常生活に支障をきたすかどうかをチェックしましょう。

高齢の方の認知症とはどのような違いがありますか?

若年性アルツハイマーと高齢の方の認知症との違いは、初期症状が認知症特有ではなく診断しにくい点が挙げられます。その結果、診断や治療開始が遅れてしまう場合があります。

編集部まとめ

若年性アルツハイマーの進行を遅らせ現在の生活を維持するためには、早期受診や早期治療、定期的なセルフチェックが欠かせません。

原因となる疾患によって症状の現れ方は異なりますが、仕事のミスや性格の変化など、日常生活での違和感を見逃さないことが大切です。

根本的な完治はむずかしい現状ですが、薬物療法やリハビリテーション、生活習慣を改善することによって症状の軽減が期待できます。一人で抱え込まず、認知症を診ている医師に相談し、適切な治療を受けましょう。

若年性アルツハイマーと関連する病気

「若年性アルツハイマー」と関連する病気は4個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

頭部外傷

感染症

脳腫瘍

変性疾患

これらの病気は、若年性アルツハイマーとよく似た症状を引き起こすことがあるため、検査が必要です。自己判断せず、もの忘れ外来を受診しましょう。

若年性アルツハイマーと関連する症状

「若年性アルツハイマー」と関連している、似ている症状は5個程あります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

記憶障害

行動・性格の変化

判断力・理解力の低下

意欲の低下

睡眠障害


これらの症状は、加齢による衰えや一時的な体調不良、仕事のストレスなどと見過ごされがちです。そのため、違和感を覚えたら、放置せずに認知症を診ている医師へ相談することが大切です。

参考文献

若年性認知症支援ガイドブック

認知症を理解する|厚生労働省

若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について