大ヒットした「ベビー・フェラーリ」 お値打ちオープンカー12選(12) フィアットX1/9 庶民へ向けたエキゾチック・ミドシップ
1970年代らしい遊び心に溢れた「フィアットX1/9」
フィアットX1/9は、1970年代らしい、遊び心に溢れたスポーツカーといえる。流行の最先端にあったウェッジシェイプのボディをまとい、エンジンはミドシップ。4速MTを介して後輪を駆動する、庶民へ向けたオープン2シーターだった。
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ヘッドライトはリトラクタブルで、ルーフは取り外せるタルガトップ。センターピラーには、ロールバーが内蔵された。4気筒エンジンは、アウレリオ・ランプレディ氏が設計したSOHCの1290cc。フィアット128にも載ったユニットの、改良版だった。

フィアットX1/9(1972~1989年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
サスペンションは、マクファーソン・ストラットで、ブレーキは前後ともディスク。マルチェロ・ガンディーニ氏が描いたボディはベルトーネ社が生産し、その後フィアットへ運ばれ、ドライブトレインが組み付けられている。
大ヒットしたミドシップのベビー・フェラーリ
現実的な価格で買えるミドシップ・モデルは当時でも唯一といえ、MGミジェットやトライアンフ・スピットファイアは時代遅れ感を漂わせていた。運転の楽しさに加えて、衝突安全性にも配慮され、X1/9は大ヒットに至った。
1972年から5年ほどの間に、北米市場では4万4000台を販売。多くの英国人も、最高出力75ps、最高速度167km/hのベビー・フェラーリに、4500ポンドを喜んで支払った。

フィアットX1/9(1972~1989年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
1978年に、86psの1498ccエンジンを獲得し、MTは5速へアップデート。内装も一新されるが、衝撃を吸収する無骨なバンパーも追加された。1982年からは、ベルトーネ社が提供を開始。1989年の最終モデル、グラン・フィナーレでX1/9は幕を閉じた。
今回の車両は、スティーブ・ファラル氏が所有する、1985年式の英国仕様「VS」。グレーの塗装に、レッド・レザーの内装という組み合わせが鮮烈に映る。ボディサイズは小さく、キャビンも広くはないが、タルガトップを外せば乗り降りしやすい。
今でも有能な走りの訴求力は薄れない
身長が180cmを超えなければ、グローブボックス部分にベルトーネのサイン・プレートが貼られた、四角いダッシュボード後方へ自然に座れる。シートは少々幅が狭いが。
新車時は、煮詰められた操縦性や乗り心地、好燃費で称賛を集めたX1/9だが、今でもその訴求力は薄れていない。正確なステアリングの手応えは理想的で、カーブでの挙動は終始ニュートラル。路面が乾燥している限り、限界領域にはそうそう到達できない。

フィアットX1/9(1972~1989年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
ブレーキも強力に効きつつ、制動力の調整は容易。5速MTのギア比も望ましく、7000rpmまで意欲的に回る1.5Lエンジンをしっかり使い切れる。
多くの人へ向けた量産車の場合、ミドシップレイアウトを叶えるには課題が多い。しかし、1970年代を象徴するようなフィアットは、庶民も乗れるエキゾチック・スポーツを巧妙に実現できている。
協力:フィアット・モータークラブGB
フィアットX1/9(1972~1989年/英国仕様)の主なスペック
英国価格:4575ポンド(1979年時)
生産数:約18万台
最高速度:178km/h
0-97km/h加速:10.3秒
燃費:10.3-12.0km/L
車両重量:920kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc 自然吸気 SOHC
最高出力:86ps/6000rpm
最大トルク:12.0kg-m/3200rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動

フィアットX1/9(1972~1989年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)

