「社長になれば自由になり、お金持ちにもなれる」というイメージを抱いたまま起業に踏み切ると、後になって後悔するケースは少なくないという。脱・税理士の菅原氏は、社長という職業を最もリスクの高い立場だと位置づける。宝くじに当たるよりも、自己破産する確率の方が高いというのが菅原氏の見立てだ。憧れだけで踏み込むにはあまりに厳しい世界だという指摘から、動画は幕を開ける。
 
まず語られるのが、責任の所在に対する覚悟だ。赤字や社員の失敗を環境や他人のせいにせず、すべて自分の責任として引き受けられるかどうかが問われる。加えて社長は社員だけでなく、その家族の生活まで背負う立場にほかならない。電柱の高さやポストの色までも自分の責任と捉えるべきだという極端な例え話も飛び出す。業績が傾いた際には自分の給料を削り、時には借金をしてでも社員の生活を守る覚悟が欠かせないと説く。会社を興すことは、自分ひとりの人生だけの話では終わらないという現実がそこにある。
 
資金面の厳しさも見過ごせない。事業が成長するほど、それに見合った大きな資金を必要とする話が新たに舞い込むため、手元の資金はどれだけ増えても油断できない状態が続くという。実際に起業して10年後まで残る会社は約1割、30年では0.02パーセントというデータも示され、成功者と呼べる存在がいかに少数かが際立つ。いわゆる8対2の法則にも触れながら、上位のごく一部が多くの成果を担う構図が丁寧に説明されていく。起業当初に抱いていた資金への感覚も、事業の規模が変わるにつれて大きく揺さぶられていったという体験談も添えられる。
 
さらに、経営者特有の孤独がどこから生まれるのか、社員に嫌われる決断をどう下すのか、優秀な人材が突然離れていく現実にどう向き合うのかといった論点にも話は及ぶ。組織が大きくなる過程で、社長自身の役割が現場のプレイヤーから、ビジョンを語って組織をまとめる存在へと変わっていく必要性も語られており、これから経営という仕事に向き合おうとする人にとって、事前に何を心得ておくべきかという視点を得られる内容だ。

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