AI作成の画像は著作物?「酷似のモデル画像」使用で提訴…原告「人間が手を加えた」・被告「権利侵害ない」
生成AI(人工知能)を使って作成したヘアカットモデルの画像と酷似した画像を使用され、著作権を侵害されたとして、大阪市の画像制作会社が千葉県の美容室運営会社に画像の使用禁止を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
被告会社は争う方針で、AI画像に著作権が認められるかどうかが争点となる見通し。判例はなく、訴訟の行方が注目される。(小松大騎)
「判例」まだなし
訴状や原告会社への取材によると、原告会社は2023年7月以降、生成AIでヘアカットモデルの画像を作成し、美容室向けに販売。ウェブサイトで、数千点の商品画像を公開していた。
被告会社は昨年12月〜今年5月、原告会社の商品画像と酷似した画像240点を美容室の予約サイトに掲載した。
原告会社は5月、被告会社に、著作権を侵害していると通知。被告会社は予約サイトから画像を削除した上で、「被害拡大防止を最優先とし、類似性が懸念される画像の掲載を停止した」と回答。一方で、「権利侵害はしていない」と反論した。
被告会社は同月、原告会社を相手取り、賠償金を支払う債務が存在しないことの確認を求め、東京地裁に提訴。原告会社も7月、大阪地裁に提訴した。
AIは「制作道具の一つ」
著作権法は、人間による思想または感情を創作的に表現した文芸や美術、音楽などを「著作物」と定義している。生成AIによる作成を想定しておらず、文化庁は24年3月、生成AIと著作権に関する考え方を公表した。
AIが生成したもの自体は著作物ではないとしつつ、人がAIを道具として使用し、創作的な表現をしたものは著作物にあたると示した。創作的かどうかの判断は、「指示の分量・内容」「生成の試行回数」などを総合的に考慮するとした。
原告会社は訴状などで、商品画像の作成手順について、〈1〉モデルの年齢や髪形、雰囲気に関するプロンプト(指示)を生成AIに入力〈2〉生成された画像を、画像編集ソフトで修整・合成――と説明。熟練したスタッフでも画像1点に30〜40分かかるといい、「AIはあくまで制作の道具の一つ。商品画像には著作権が認められる」と主張している。
原告会社は取材に「流行を取り入れたかわいい髪形になっているか、人間の目で判断し、手を加えている」としている。
被告会社の代理人弁護士は取材に、原告会社の商品画像と酷似していることは認めた上で、「生成AIの画像に著作物性はなく、権利侵害は生じていない」と述べ、訴訟で争う意向を示した。
国により分かれる「判断」
AI生成物の著作権を巡っては、国によって判断が分かれている。
米国は原則、著作権を認めていない。著作権局は昨年公表した報告書で、作成に要した時間や労力について「著作権が生じる基準にならない」と指摘した。
一方、中国・北京の知的財産を扱うインターネット裁判所は23年の判決で、生成AIで作った画像を無断使用されたとして、著作権侵害を訴えた作者の画像を著作物と認定した。作者による多数回の指示、修整などで相当の知的労力を要したことが重要視された。
早稲田大学の上野達弘教授(知的財産法)は「著作権が認められるかどうかは、人が創作的表現にどれだけ関与したかによるが、その線引きは曖昧だ。裁判例を積み重ねていくことで、基準が明確化されるのではないか」と語る。
