左から東急バスの古川社長、「真結」の乗務を担当する東急バスの運転士さん、水戸岡氏、「真結」の乗務を担当する神姫バスのコンシェルジュ、神姫バスの長尾社長

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兵庫の神姫バスの「超豪華ツアー」が東京に進出 狙いは?

 神姫(しんき)バスは2026年8月26日、9月1日から東京で運行を開始するラグジュアリーバスツアー「真結(ゆい)」を運行開始に先駆け、報道陣に公開しました。
 
 どのような特徴があるバスツアーなのでしょうか。

 神姫バスは兵庫県のバス事業者です。姫路や加古川など兵庫県内の播磨地域を中心に、橙色とベージュのカラーの一般路線バスを運行しているほか、高速路線バスでは四国地方や大阪、名古屋、東京エリアの路線も運行しています。2027年には創業100周年を迎えます。

【画像】超豪華!? これが神姫バス「真結(ゆい)」の車両です! 画像で見る(30枚以上)

「真結(ゆい)」は2016年に運行を開始したラグジュアリーバスツアーブランドで、専用車両の「YUI PRIMA」を用い、全国の厳選された高級宿や美味しい食事のみならず、目的地の自然や歴史、文化など、その土地土地が持つ価値を発見し、深く堪能できるツアーとなっています。

 従来は兵庫・大阪発着のツアーを販売してきましたが、ブランド誕生10周年を迎えたことを機に東京へ進出。東京・神奈川でバスを運行している東急バスと協業し、東京エリアでのツアー販売を開始します。

 東京の進出の理由について、神姫バスの長尾 真 代表取締役社長は、運行開始10年の課題の解消とともに、潜在的な需要の大きさに狙いがあるといいます。

 真結の運行開始時から10年が経過したことで、会員数は1万名以上を獲得。さらに参加客の7〜8割がリピーターとなるなど、根強いファンを獲得しました。

 そのいっぽうで、メインとなるリピーターは50〜80代と中年・高齢層が多いことから、特に2020年のコロナ禍とその直後は外出を控えるようになり、体力も衰えたということから、バスに乗ること自体が難しくなってきたと話します。

「コロナの3年間で、リピーターの方がお年を召して、バスに乗り込むのもしんどいということで、かなり減ってきてしまいました」

 さらに、リピーターの増加も嬉しい反面で、新規層の獲得が困難になりつつあった課題も指摘しています。

「リピーターが多いのは本当にありがたいのですが、リピーターの方が席を予約され、新規の方の予約が取れないという難しい部分もあります」

 そうしたなか近年、他の事業者で、東京から河口湖、高山、金沢、京都・大阪方面に向かう新たなインバウンド向けツアーが企画され、その商品力が認知されてきたといいます。関西での運行を経て見つかった課題とともに、潜在的な顧客がより多いと見込める東京でも、事業を開拓したいという思いもあるようです。

「(他社のインバウンド向けツアーが)ようやく認知されてきました。神姫バスも東京という新たな市場で根付かせていこうということで、こうしたものをやりたいと考えました。

 ただしインバウンド向けだけに限らず、神姫バスとしてはフラッグシップのブランドとして展開し、“真結”を育てていこうと思う部分もあったので、東京の富裕層向けに、東急バスさんのブランドもお借りし、思い切って東京進出を決めました」

 長尾社長は「将来的には東京で営業所を持ちたい」と話した上で、東京進出についてこのように意気込んでいます。

「儲からないから辞めるという選択肢は今のところ持っていません。儲かるまでやり続けたいなと思っています。今のところ1台ですけれども、それ2台、3台と増やしていけるように頑張っていきたいと思います」

 運行開始にあたって26日、報道陣にツアーの概要と専用車両YUI PRIMAが披露されました。

 YUI PRIMAは乗員を除いた座席がわずか18席のみとなる車両で、車種は三菱ふそう「エアロクィーン」です。神姫バスの車両ですが、東京エリアの運行に合わせ、東急バス下馬営業所の所属となっています。

 デザインを担当したのはJR九州の豪華観光列車「ななつ星in九州」や新幹線「つばめ」の800系新幹線電車などを手掛け、世界的に高い評価を受けている工業デザイナーの水戸岡 鋭治氏(ドーンデザイン研究所主宰)が担当しました。

 外装はプレミアム感のあるネイビーの車体に、王冠のデザインやゴールドのエンブレムなど、「YUI PRIMA」の専用加飾がさりげなく施され、旅の高揚感を高めてくれます。

 内装は水戸岡氏の作品に共通する、木の質感を持たせたつくりとなっており、天井から床材、荷物棚、アームレスト、テーブルやフットレストなど、乗客が目にする大部分で温かみのある木の素材の良さを感じられるものとなっており、「バスに乗った瞬間から旅が始まる」というコンセプトを体現しています。

 シートは1+2人掛けの6列となっており、シートピッチは1050mmと、上等な夜行バスよりもゆとりを持たせています。ゆったりとしたアームレストや小型テーブルを装備し、シートバックには兵庫県豊岡市のカバン職人が手作りしたレザー製のシートポケットが備えられました。

 また、ツアーでは専属コンシェルジュが同行しますが、車内サービスも受けられるように車内後方にはサービスカウンターが設けられています。ソフトドリンクやビール、ワインなども提供しており、メニューも豊富です。

 このサービスカウンターもYUI PRIMAのデザインが施された木製のカウンターや、ステンドグラスを備えるなど、細部にこだわっています。なお、サービスカウンターの脇には温水洗浄便座付きのトイレも装備されています。

「真結(ゆい)」の専用車両「YUI PRIMA」のシート

 東京で運行を担当するドライバーは、東急バスの約1900名の運転士のなかでも、乗客にかかる横Gなどのテストに合格した高い運転技術を持つ20名のドライバーが担当します。兵庫ツアーの神姫バスでも、無事故・無違反で乗客からの評価が高いドライバーが担当しているといいます。

 東京エリアでのツアーの一例は、9月29日出発の1泊2日で新潟・南魚沼を巡る「里山十帖 大地の恵みを探す旅(22万8000円〜51万6000円)」が販売されています。

 このほか、10月8日出発の2泊3日で岐阜・奥飛騨を巡る「人力車で巡る秋の高山祭 奥飛騨温泉郷 湯元長座二連泊(24万5000円〜27万5000円)」、11月7日の日帰りで鎌倉を巡る「古都・鎌倉で一期一会の食事会 建長寺×Living Auberge 秋の特別イベント(14万8000円)」などが用意されています。

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 運行開始にあたり、神姫バスの長尾 真 代表取締役社長は以下のように話しています。

「このあと9月からシリーズが始まっていきますが、東京の方々、また首都圏の方々、あるいは首都圏を経由して来られるような地方の方々にもご利用いただき、新しい旅のスタイルとして、大人のゆったりとした旅行を楽しんでいただければと思います」

 また、東急バスの古川 卓 代表取締役社長は、以下のように話しています。

「私どもは今回、真結の運行の部分を担わせていただくということで、関わらせていただくことになりました。

 安全・快適な車両運行のご提供をお約束するとともに、しっかりと役割を担っていきたいと思っております。1人でも多くのお客様にご利用いただければと思います」