ABS秋田放送

写真拡大

様々な事情で親と暮らせない子どもを養育する、里親についての特集です。

里親という言葉は耳にすることも多いですが、どんな制度かというところまではあまり知られていないのではないでしょうか。

里親制度の浸透を図るため、県は、去年秋に里親支援センターを設立し、秋田全体でチームとして支援しようと活動を行っています。

県内での支援の現状と里親になった女性を取材しました。

■「ハードルを下げたい」楽しく学ぶ里親制度

今年6月、秋田市文化創造館で行われたイベント「&TOMONY」。

会場には多くの県内企業や飲食店のブースが設けられ、家族連れでにぎわっていました。

様々な理由で親と暮らせない子どもを養育する制度、里親制度について知ってもらおうと企画されたイベントで、今回が初めての開催です。

ステージイベントには秋田のご当地ヒーロー、超人ネイガーや県内で活躍するタレントが登場。

少し難しいイメージのある里親制度をクイズ形式で楽しく学びました。

イベントを企画したのは、里親のサポートなどを行う県里親支援センターTOMONYです。

TOMONY代表・冨樫美和子さん
「思ったよりも結構皆さん入ってきてくださっていてすごくうれしいなあという風に思っていますし、」「やっぱりどうしても適切な里親制度の周知ってなかなか結びついていない、まだ皆さんハードルがすごくあるように感じているので、そこを少しでも下げられる取り組みをしていきたいなという風に思っております」

■「里親のなり手は不足」県内の現状

秋田市に事務所を構えるTOMONYは、県が去年10月に開設しました。

イベントやSNSを通じた里親制度の普及啓発に取り組んでいるほか、里親希望者への研修、子どものマッチングやサポートを行っています。

冨樫さん
「なかなか長期で見ていただけるような里親さんのなり手っていうところは少し不足しているような状況になっております」

様々な理由で産みの親と一緒に暮らせない子どもは全国に約4万2,000人います。

県内には200人ほどいますが、里親に引き取られて生活しているのはわずか50人。

多くは乳児院や児童養護施設で暮らしています。

国は、社会的養護が必要な子どものうち里子などとして家庭的な環境で暮らす子どもの割合、里親委託率を3年後の2029年度までに75パーセントにするという目標を掲げています。

しかし県内の里親委託率は25.7パーセントと、大きく下回っている状況です。

TOMONY代表の冨樫美和子さんは、「制度への理解の不足」が課題だと話します。

冨樫さん
「子どもさんの里親ってなると特別養子縁組の里親さんのイメージがまだまだ強くて」「里親の形?そこらへんがわからなかったから聞いてよかったっていう感じがすごく多いです」

■里親=養子縁組ではない いろいろな形が選べる里親

里親、といっても受け入れのスタイルはさまざまあるんです。

これからいくつか里親制度に関するクイズを出すので、皆さんも考えてみてください。

①「一人で暮らしているけど子どもと生活してみたい…」できるか、できないか。

答えは〇。

子どもを適切に養育できると認められれば、単身でも里親になることができます。

ただ、経済的な基盤や住居など受け入れの環境があるか、何かあった時に頼れる親族がいるかどうかなどが要件です、

②「養子にはできないけど、子どもを長期間育ててみたい…」これはどうでしょうか?

これも、〇!です。

里親制度には、自分の戸籍に入れる「養子縁組里親」と、里子を戸籍に入れずその子が自立するまで一緒に生活する「養育里親」があり、選択することができます。

子どもに必要な経費は国や県から支給されるので安心です。

③「お仕事があるので、週末だけ一緒に暮らしたい…」これはどうでしょうか?

これも、できるんです。

先ほど紹介した養育里親のなかに短期という形があり、週末だけ里親として活動したり、市町村のショートステイ事業の受け入れを行ったりしている人も多くいます。

里親になるというと、戸籍に入れて、家族として毎日一緒に生活みたいなイメージがありますが、いろんな形が選べるんです。

いずれの場合も里親になるための研修を受ける必要がありますが、里子を受け入れるハードルが少し下がりますよね。

■里親になった女性「自分に合った形で、寄り添う」

秋田市に住む上谷佳誉さんです。

4年半ほど前、単身で、養育里親として当時、中学2年生の男の子を迎えました。

上谷佳誉さん
「うち来たときは人の顔色伺ってなんか選べないっていうか」「靴買わなきゃいけなかったんですよ。それが一番最初のやらなきゃいけなかったことなんですけど、何を重視して選んだらこの人喜ぶのかっていうので靴屋の前で固まっちゃって。もう全然選べないみたいな」

自分で何かを決めることができなかったという里子も現在は19歳に。

一緒に過ごした4年半は、大きな成長を感じる期間だったと振り返ります。

鴨下望美アナウンサー
「これは何の時のお写真?」
上谷さん
「これは高橋優さんの潟上でやった時のフェスの写真です」「電車ですぐだったんですごい喜んで行ってましたし」「このあと何回か私一緒にフェス行ってるんですけど、自分から一人で行ってみたいって言いだして、それで金沢のフェスに一人で行く計画を。何に乗って乗り換えてみたいな」「お土産とかも向こうで一人で買ってきて、まあ15分に1回くらいLINE来てたんですけど(笑)」
鴨下アナ
「かわいい。頼られてますね」
上谷さん
「ちょっとしたハプニングとかも自分で乗り越えて一人で行ってきたんで。すごい成長したっていう感動して、一人泣いてて」

上谷さんは、里子を迎えるにあたり特別なことをする必要はなく、里親それぞれに合った形で支援ができることを知ってほしいと話します。

上谷さん
「本当に無理のない範囲っていうか、自分に合った形で(暮らしを)提供するというか、一緒に生活するというイメージ。何かを一生懸命与えてあげようと頑張るっていうよりは、私ができる範囲の中にポンと飛び込んできてもらうというか。でこっちもちょっと寄り添うというか、なんかそこがそういうイメージでいてもらえるとすごくうれしい」

■「ともに子育てをするチーム」企業も一体となって支援する全国初の取り組み

里親家庭を見守ろうという動きは県内の企業にも。

TOMONYは、去年から活動に協力してくれる企業を募集していて、現在52社が登録しています。

里親家庭を対象に商品の割引を行ったり、説明会などの際店舗を貸したりなどサポート内容は企業によってさまざま。

企業と一体になり支援を行うという取り組みは全国でも秋田が初めてです。

家庭の中で愛情をいっぱい感じながら成長する子どもが少しでも増えてほしい。

TOMONYは、今後も秋田全体で里親家庭を支援できるよう活動していきたい考えです。

TOMONY代表・冨樫美和子さん
「はじめきっと里親になるってすごく大きいことみたいな感じだと思うんですけど、本当に今一緒に私たちあのTOMONYの名前の通り、ともに子育てをするチームとして考えていきたいですし、里子さんももちろんそうですし、里親さんになる方も安心して子育てができるっていう秋田になっていけばいいなと思っていますので、一歩踏み出す勇気をぜひ皆さんに持っていただきながら、社会みんなで変えていけるように、一緒にともに歩んでいけたらと思っています」

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

TOMONYではいつでも相談を受け付けているほか、来月は県の北部で里親希望者へのガイダンスや里親について語るランチ会などを行う予定です。

※8月26日午後6時15分のABS news every.でお伝えします