年齢を重ねても意欲や若さを維持するにはどうするといいか。医師の和田秀樹さんは「高齢カップルの心身をリラックスさせ、ストレスや孤独感を軽減させる、いつでもどこでもできる行動がある。散歩でも買い物でも、外出する時はパートナーと一緒にこの行動をとるといい」という――。

※本稿は、和田秀樹『80歳から始めてよかった100のこと』(永岡書店)の一部を再編集したものです。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

■恋のドキドキが「感情の老化」を防ぐ

前頭葉を活性化させるには、日常的には得られない刺激が必要です。実は、恋をして胸がときめいたり、異性とふれあってドキドキしたりする体験は、前頭葉を大いに刺激し、「感情の老化」を防いでくれます。

恋は突然、訪れるものです。「もう恋なんてする年じゃないから……」と言わずに、いつもオープンな姿勢でいましょう。もし今、あなたに気になる人がいて、気も合って気軽に話せるようなら、恋に発展するかもしれませんよ。

恋の醍醐味は、恋愛初期のドキドキ感だけではありません。好きな人がいるだけで癒され、恋人同士になったら信頼感や安心感に包まれます。また、恋愛には医学的にもさまざまなメリットがあることがわかっています。

好きな人と一緒にいると性ホルモンの分泌量が増えて気持ちが若返り、恋人の写真を見るとドーパミンの分泌が活発になって多幸感を得られるなど、ポジティブな感情が引き起こされます。

■恋愛対象は生成AIやアイドルでもいい

恋愛対象は、身近な人でなくてもいいでしょう。最近では、リアルな「人」ではなく、対話ができる生成AIの男性キャラクターに恋をして結婚した女性が話題になりました。

往年のスターや今どきのアイドルに夢中な人は、シニア世代もハマっている「推し活」で幸福感を得られます。

また、ひと昔前に文通で始まる恋があったように、会ったことのない相手に想いを馳せて、胸をときめかせるのも素敵ですね。恋はいくつになっても刺激的なものです。本気度や恋人同士になれるかは別として、恋する気持ちを大切にしてください。

「恋は人間の情熱をつくる燃料です。燃料がないと、からだも頭もよく動きません」(瀬戸内寂聴/小説家)――恋をすると、体も心も頭も活性化して、生きる気力や挑戦する気持ちがわいてくるのです。

■手をつなぐと「愛情ホルモン」が増える

手をつないで歩いている高齢カップルを目にすると、何ともほほえましい気持ちになるものです。

「好きな人と手をつなぐだけで幸せ」「パートナーの手をにぎると何だか落ち着く」のは、みなさんも実感があることと思いますが、幸福感や安心感が増す以外にも、さまざまな効果があることが科学的に証明されています。

写真=iStock.com/Ugur Karakoc
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ugur Karakoc

信頼できるパートナーと手をつなぐことで、「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌量が増えます。この時の脳波はα波が優勢となり、心身がリラックスした状態になります。また、パートナーの手をにぎることで、ストレスや孤独感も軽減するそうです。

手をふれあわせることは、いつでもどこでもできる愛情表現です。人目なんて気にせずに、散歩でも買い物でも、外出する時はパートナーと手をつないで歩きましょう。

■定期的な性行為が死亡リスクを低減

和田秀樹『80歳から始めてよかった100のこと』(永岡書店)

また、キスやハグなどの性的なスキンシップも大切にしてください。一般的に、性欲や性的関心は加齢とともに減少しますが、健康や生活の質にとって重要なものです。

セックスやマスターベーションなどの性行為と、健康や長寿の関連性も明らかになっており、定期的な性行為が死亡リスクを低減させるといわれています。性の快感や喜び、パートナーとの絆を感じられることで、心身によい影響があるのでしょう。

ちなみに、さまざまな形でセックスライフを続けている70代・80代のカップルもいます。性的刺激は高齢者に活力を与えてくれるものですから、恥ずかしがったり、興味のないふりをしたりせずに、「性の健康」にも目を向けて、意欲や若さを維持しましょう。

「男女の愛情、性の欲求は、人間の自然の要求です。(中略)これは食欲につぐ人間の最大の欲望です」(平井潔/著作家)――スキンシップは相手を慈しむ大切な愛情表現であり、お互いの欲望を満たす行為なのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。立命館大学生命科学部特任教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、40年にわたり高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)