かまってほしいと思わせて塩対応。でもそれがたまらない! 気まぐれな行動も愛おしい、猫と暮らす幸せを描いた人気シリーズ第9巻【書評】

【漫画】本編を読む
『夜は猫といっしょ』(キュルZ/KADOKAWA)は、社会人のフータと妹のピーちゃん、そして足長マンチカンの愛猫・キュルガが過ごす何気ない毎日を描いたコミックエッセイである。猫と暮らしたことがある人なら「あるある!」と笑い、そうでない人も思わず頬がゆるむ、癒やしに満ちた一作だ。2026年7月に発売された第9巻でも、キュルガの愛らしさは変わらない。
かまってほしいのかと思えば素っ気ない反応をし、かまうことを諦めたころに急に甘えてくる。歩いていたと思ったら突然立ち止まり、飼い主の顔を前足でつついたり、体の上で気持ちよさそうに眠ったり。猫と暮らす人なら誰もが経験したことのあるような意味不明だけどかわいい行動が、著者・キュルZ氏ならではの観察眼で描かれている。
仕事で疲れて帰宅したフータがキュルガに癒やされる姿や、兄妹と猫がゆるやかに築いていく日常には、言葉にしなくても伝わる家族の温かみが感じられる。猫がいることで生まれる小さな幸せや、何でもない時間の尊さを追体験できるはずだ。
猫は自由気ままで、人の思いどおりには動いてくれない。それでも、その予測できない行動さえ愛おしく思えてしまう。本作は、猫と暮らす喜びを伝えてくれるだけでなく、慌ただしい毎日の中で肩の力を抜く時間の大切さにも気づかせてくれる。猫好きはもちろん、日々の疲れを癒やしたい人にも手に取ってほしい作品だ。
文=富野安彦
