芦田愛菜でリメイクされる韓ドラ『ウ・ヨンウ』、設定まで“ほぼ同じ”…原作を簡単に見られる時代、なぜ作り直す?

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原作は、すでに日本で見られる。

わざわざ日本版を作らなくても、Netflixを通じて世界的なヒットとなったオリジナルを、そのまま楽しむことができる。

【写真】“ウ・ヨンウ”に変身した芦田愛菜

それでもなぜ、いま『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を日本でリメイクするのだろうか。

2022年に韓国で放送され、大きな社会現象となった同作が、カンテレ・フジテレビ系『南田南弁護士は天才肌』として生まれ変わることが発表された。

主演は芦田愛菜。10月19日から放送され、各話の放送終了後にはNetflixで世界配信も行われるという。

クジラも回文も残った日本版

韓国ドラマの日本リメイク自体は珍しくない。だが、『ウ・ヨンウ』は、そのなかでも難易度の高い作品ではないだろうか。

(画像提供=ENA)『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

理由は、単に原作が大ヒットしたからだけではない。主人公ウ・ヨンウというキャラクターが、パク・ウンビンの演技とあまりにも強く結びついているからだ。

そして、発表された日本版の設定を見ると、かなりの部分で原作の骨格が残されている。

主人公・南田南(みなみだみなみ)は自閉スペクトラム症の新人弁護士。東大法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格。驚異的な記憶力を持ちながら、社会の偏見と向き合い、大手法律事務所でさまざまな事件に挑んでいく。

クジラが大好き」で、「その話になると夢中で語り続けて止まらなくなってしまう」という設定もそのままだ。

「ウ・ヨンウ」という名前が前から読んでも後ろから読んでも同じように、日本版も「南田南」という回文の名前になっている。

さらに「初めて芽生える恋心」「家族に隠された秘密」といった要素も残されるという。

(写真=カンテレ)『南田南は天才肌』の芦田愛菜

ここまで原作の特徴を引き継ぐとなると、逆に気になるのが、日本版では何を変えてくるのかという点だ。

登場人物を日本人にし、舞台を日本の法律事務所に置き換えるだけでは、「それなら原作を見ればいい」と感じる視聴者もいるかもしれない。

これほど原作の輪郭を残した日本版が、どこで“南田南の物語”へ変わっていくのか。まずはそこに注目したい。

Netflix時代に、なぜもう一度作るのか

かつて海外ドラマを日本でリメイクすることには、比較的わかりやすい意味があった。

日本人俳優が日本語で演じ、日本の社会や文化に合わせて作り直す。海外作品に馴染みのない視聴者にも届けやすくなる。

ただ、現在は少し事情が違う。

Netflixをはじめとする動画配信サービスによって、日本の視聴者は韓国ドラマを字幕や吹き替えで簡単に見ることができる。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』も、Netflixを通じて日本の視聴者に広く届いた作品だ。

そう考えると、日本語に置き換えるだけでは、リメイクする理由としては少し弱い。

原作をすでに見た人にも、「もう一度見てみたい」と思わせる何かが必要になってくるのではないだろうか。

そして『ウ・ヨンウ』の場合、そのハードルをさらに高くしている存在がいる。他でもなく、パク・ウンビンだ。

(写真提供=OSEN)パク・ウンビン

放送当時、わずか2話の段階ですでに「パク・ウンビンではないウ・ヨンウは想像できない」という反応が出ていた。

言葉の速さ、指先、視線、首の動き。細かな身体表現を積み重ねながら、単に「自閉スペクトラム症の天才弁護士」を演じるのではなく、ウ・ヨンウという一人の人間を作り上げた。

その演技は高く評価され、パク・ウンビンは百想芸術大賞のTV部門大賞を受賞した。

だからこそ芦田愛菜についても、パク・ウンビンの演技をどこまで再現できるか、という見方だけではないだろう。むしろ、「南田南」という別の人物をどう作り上げるのか。そこが大きな見どころになりそうだ。

原作に近ければ近いほど比較されやすい。一方で、大きく変えれば「ウ・ヨンウらしさがない」と感じる人も出てくるかもしれない。

名作リメイクならではの、難しいバランスだ。

本当に“日本化”すべきものは何か

もう一つ気になるのが、法廷ドラマとしての部分だ。

原作『ウ・ヨンウ』が支持されたのは、主人公のキャラクターが魅力的だったからだけではない。 個々の事件を通じて、障害への偏見をはじめ、教育や環境、家族、職場など韓国社会が抱えるさまざまな問題を映し出した。

だから日本版で本当に必要なのは、法律事務所の名前を変えたり、韓国の地名を日本の地名に置き換えたりすることではなく、ウ・ヨンウが韓国社会に投げかけた問いを、南田南が日本社会に投げかけられるかだ。

そこまで踏み込めれば、日本版ならではの意味も見えてきそうだ。

韓国で描かれた事件や社会背景をそのまま置き換えるだけではなく、日本社会にある偏見や「普通」の基準を、南田南の目を通してどう見せるのか。

そのあたりが、このリメイクの大きなポイントになるのではないだろうか。

(画像提供=ENA)『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

今年、亀梨和也主演の日本版『ストーブリーグ』が韓国で放送された際にも、原作との比較は避けられなかった。完成度の高い原作ほど、視聴者の中にはすでに「この作品といえばこの場面、この演技」という記憶がある。名場面も、台詞の間も、登場人物の表情も残っている。

『ウ・ヨンウ』も、その壁はかなり高そうだ。

クジラの話をする瞬間も、法廷でひらめく場面も、自己紹介も、恋の描写も、多くの視聴者にとってはすでにパク・ウンビンの姿と結びついている。

原作を簡単に見られる現在、名作リメイクには、かつて以上に「なぜ今、もう一度作るのか」という理由が求められるのかもしれない。

はたして『南田南弁護士は天才肌』は、すでに『ウ・ヨンウ』を知っている人にも、それでも「南田南を見てみたい」と思わせる作品になるのか。

Netflixで原作を見られる時代だからこそ、日本版リメイクがどんな答えを見せてくれるのか、注目したい。